マレーシアの 1MDB汚職事件、ナジブ元首相は謝罪するも無罪を得られず
東南アジア株式新聞 2024年10月30日
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マレーシアの 1MDB汚職事件、ナジブ元首相は謝罪するも無罪を得られず
マレーシアの政府系投資ファンド、1MDB(ワン・マレーシア・デベロップメント Bhd)をめぐる汚職事件の裁判が久しぶりに大きなニュースになった。
10月30日、検察の訴追プロセスの終了を受けてクアラルンプール高等裁判所が弁護側立証へ進むか、無罪とするか、判定することになっていた。
高裁は弁護プロセスへ進むと判定を下した。
ナジブ元首相は1週間前に謝罪のコメントを発表し、政府要人などから好意的に受け入れられはしたが、この時点で無罪判決を得ることはできなかった。
12月以降の裁判の中で、ナジブ氏は無罪を目指す。
CNA の10月30日の記事:
マレーシアのナジブ・ラザク元首相は、1マレーシア・デベロップメント・ベルハド(1MDB)汚職事件で検察側が十分な証拠を提示したとの決定を受け、権力乱用とマネーロンダリングの25件の罪状で弁護側立証に召喚されることとなった。
コリン・ローレンス・セクラー判事は水曜日(10月30日)、クアラルンプールの高等裁判所で決定を言い渡した。
「今回の容疑は刑事訴訟法の法的基準をすべて満たしていると思う」と判事は述べた。
「検察側は容疑の要素を証明したと思う」と同判事は付け加えた。
これに対し、ナジブ氏の弁護士シャフィー・アブドラ氏は、依頼人が容疑に対する弁護として宣誓証言をすることを選んだと裁判所に伝えた。
「彼には隠すものは何もない」とシャフィー氏は付け加えた。
地元メディアによると、ナジブ氏の弁護側の裁判は12月2日に高等法院で始まる予定だ。
(中略)
ナジブ被告(71歳)は、マレーシア汚職防止委員会法第23条(1)に基づき起訴された。
これらの罪は、最高20年の懲役と、賄賂の金額または価値の5倍、またはRM10,000(2,290米ドル)のいずれか高い方の罰金が科せられる。
マネーロンダリングの21件の罪状について、ナジブ被告は2013年3月22日から2013年8月30日までの間に犯罪を犯したと起訴されている。
1週間前の謝罪も、現地では大きなニュースだった。
ナジブ氏は、元1MDB子会社のSRCインターナショナルSDN BHDの4200万リンギットをめぐる別の裁判で有罪判決を受け、現在は服役中。
2年以上獄中生活を送り、これが初めての謝罪だったため、新鮮な驚きがあった。
謝罪に対する要人のコメントも記事になっている。
The Star の10月24日の記事:
Najib apologises to all Malaysians over 1MDB debacle | The Star
10月24日、クアラルンプールの裁判所で息子モハメド・ニザール氏が読み上げたナジブ氏の声明:
「1MDBの失態が財務大臣および首相としての私の監督下で起きたことを知り、心を痛めています。そのことに対して、マレーシア国民に心から謝罪したいと思います」
Malay Mail の10月28日の記事:
Leaders must welcome apologies from anyone, Zahid says of Najib’s 1MDB mea culpa | Malay Mail
アフマド・ザヒド・ハミディ副首相(UMNO 総裁):
「リーダーは誰からの謝罪も歓迎しなければならない」
同紙同日の記事:
Loke: Najib’s apology doesn’t stop 1MDB case from being crime | Malay Mail
DAP(民主行動党)のアンソニー・ローク事務局長(運輸相):
「謝罪を受け入れるかどうかの問題ではない。謝罪の有無にかかわらず、犯罪は犯罪だ」
もちろん、最後の発言が正しい。犯罪は犯罪として法で裁かれなければならないし、それが元首相に対する正しい対応でもある。
ナジブ元首相は今でもUMNO党の中で人気がある。
30日の早朝から高等裁判所前には、ナジブ氏を応援するため、多くのUMNOユースのメンバーが集まっている様子がニュース映像で流れていた。
ところで、1MDB 事件は、逃亡中の容疑者がおり、全容が明らかになるのはまだ先になりそうだ。
マレーシアの汚職防止委員会(MACC)は2024年2月に回収額を発表している。
MACC、2023年から2024年2月までに1MDBの資産から2,300万リンギット以上を回収
2024年2月8日
https://www.sprm.gov.my/index.php?page_id=105&contentid=3131&language=en
マレーシア汚職防止委員会(MACC)は、国内外における1Malaysia Development Berhad(1MDB)ファンド資産の最新の回収についてお知らせします。委員会は、現金と資産合わせて合計23,911,460.90リンギットを回収することに成功しました。
現金と資産は、裁判所での没収、および5人の個人によるマレーシア政府への自主返還を通じて回収されました。
資金の回収に成功したのは、MACCのマネーロンダリング対策部門が2023年に、そして最近では2024年2月5日に1MDBに属する資金を追跡し回収した結果です。
しかし、主犯格の容疑者 ジョー・ロー(Jho Low、Low Taek Jho)氏は逃亡中のままだ。
2023年3月時点では、ジョー・ローはマカオに滞在していると報じられていた。
Jho Low believed to be in Macau, says MACC | FMT
以下、Gemini に 1MDB事件の概要をまとめてもらった。
マレーシア1MDB事件の概要
マレーシアの1MDB事件は、国営投資会社であるワン・マレーシア・デベロップメント Bhd(1MDB)を舞台にした、世界でも類を見ない規模の金融スキャンダルです。巨額の資金が不正に流用され、政治家やビジネスエリートらが関与したとされ、マレーシアのみならず国際社会にも大きな衝撃を与えました。
1MDBとは?
1MDBは、2009年にナジブ・ラザク元首相が設立した国営投資会社です。マレーシアの経済成長を促進し、国民の生活水準向上を目指して設立されました。しかし、設立当初からその経営は不透明であり、巨額の負債を抱えるなど、問題が山積していました。
事件の概要
巨額資金の流用: 1MDBから数百億ドルもの資金が、海外の口座に不正に流用されたことが発覚しました。
政治家への資金提供疑惑: 流用された資金の一部が、ナジブ元首相を含む政治家への賄賂として使われた疑いが浮上しました。
高額な資産購入: 流用された資金で、豪華ヨットや美術品、ハリウッド映画の製作など、高額な資産が購入されたことが明らかになりました。
国際的な捜査: この事件は、マレーシアだけでなく、アメリカ、スイス、シンガポールなど、複数の国で捜査が行われる国際的な事件となりました。
ナジブ元首相の失脚: 2018年の総選挙でナジブ元首相が敗れ、マハティール・モハマド氏が首相に就任。その後、ナジブ元首相は逮捕され、裁判にかけられました。
事件の影響
この事件は、マレーシアの政治経済に大きな打撃を与えました。マレーシアの信用は失墜し、経済成長は鈍化しました。また、この事件は、グローバルな金融システムにおける不正の深刻さを改めて浮き彫りにし、各国に金融規制強化の必要性を突きつけました。
事件のその後
現在もなお、この事件に関する裁判は続いており、全容解明にはまだ時間がかかると思われます。しかし、この事件は、現代における最大の金融スキャンダルのひとつとして、歴史にその名を刻むことでしょう。
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