東南アジアで AI・データセンター関連の投資獲得競争が活発化
東南アジア株式新聞 2024年10月1日
中国株と日本株の激動から1日、東南アジアはやや強気に戻った模様
東南アジアで AI・データセンター関連の投資獲得競争が活発化
グーグルがタイとマレーシアでデータセンター計画を発表
グーグル幹部がタイ首相、マレーシア首相と相次いで会い、データセンター投資計画を発表した。
対抗するかのように、インドネシアもAI関連の投資を誘致することに意欲を示す発言を繰り返している。
AI(人工知能)、クラウド、半導体などのハイテク分野の投資は、雇用創出や産業高度化につながる。
このため、シンガポールやベトナムを含め、東南アジア諸国の間で、ハイテク企業からの大型投資を誘致する競争が活発化している。
9月30日、タイに、グーグルがデータセンター建設へ具体的投資計画を表明
The Nation の10月1日の記事:
Google to invest $1 billion to build data, cloud centre in Thailand
Google、タイにデータ・クラウドセンター建設に10億ドルを投資
米国を拠点とするテクノロジー大手のアルファベット社とグーグル社は月曜日、タイに同社初のデータセンターとクラウド地域センターを建設するため10億ドル(360億バーツ)を投資する計画を発表した。
アルファベット社とグーグル社の社長兼最高投資責任者であるルース・ポラット氏は、この投資により2025年から2029年の間に約1万4000人の雇用が創出され、2029年までにタイの国内総生産が約40億ドル(1297億4000万バーツ)増加すると予想していると述べた。
この計画は月曜日、バンコクの政府庁舎で行われたポラット氏とタイのペートンタン・シナワット首相との会談で話し合われた。
政府庁舎によると、会議では「タイ人を置き去りにしない」というコンセプトの下、同社とタイ政府によるデジタル経済・社会開発の協力について検討された。
ペートンタン首相はグーグルの計画について「タイのクラウド・ファースト政策に合致している」と述べたとも伝えられている。
グーグルは2023年に、タイにクラウドリージョンを設立する計画を発表していた。
タイでは4月に、マイクロソフトもデータセンター建設を発表している。
マレーシアは一歩先へ進む意志を示す
東南アジアでは、ハイテク大手企業からの投資誘致でマレーシアが一歩先行している。
グーグルは5月に、マレーシアにデータセンター建設を表明している以外にも、多くの投資プロジェクトが進行中だ。
マイクロソフトがAIインフラなどに22億ドル(4年間)の投資を表明しているほか、エヌビディアが地元のYTLグループと提携しAIデータセンター建設を、中国のバイトダンスや日本企業もAI関連投資を発表している。
ただ投資を誘致するだけでは近隣諸国と差別化できない。
一歩先へ進もうと、マレーシア政府は最近、AIの倫理的な利用を促進する規制を盛り込んだ「ナショナル・クラウド政策」を策定をすると発表した。
アルファベット社長兼グーグル最高投資責任者(CIO)のルース・ポラット氏は、タイでペートンタン首相に会った翌日、マレーシアでもアンワル首相らと会い、データセンターを含めた20億ドルの投資計画を明らかにした。
The Star の10月1日の記事:
Google、セランゴール州の教師向けに将来のスキルを養成するトレーニングを開始、マレーシア初のデータセンター計画を公開
Googleは本日、Future Skills for All(FS4A)デジタルトレーニングイニシアチブを開始した。これは、セランゴール州の260人の教師をトレーニングすることを目的としたプログラムである。これらの教師は、州全体で最大61,000人の生徒をトレーニングする。
この開始は、Googleがクアラルンプールで開催したMantap Malaysia Bersama AIイベントの一環として行われた。このイベントでは、このテクノロジー大手がマレーシア初のデータセンターと新しいクラウドリージョンの起工式も行った。
マレーシアでのグーグル・データセンター建設は、同社が同国に投じる20億ドル(83億リンギット)の投資の一環で、2030年までに経済に32億ドル(133億リンギット)の貢献と2万6500人の雇用創出が見込まれている。
起工式には、アンワル・イブラヒム首相とザフルル貿易産業相のほか、建設を任されたサイム・ダービー・プロパティ(Sime Darby Property)グループの首脳も参加した。
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アンワル首相はグーグル来訪についてX投稿 |
起工式に合わせて、グーグルは地元企業DNeX(Bursa:4456)との提携も発表した。
Malay Mail の9月30日の記事(中身はクアラルンプール発ロイター電):
DNeX, Google Cloud sign multi-year deal to provide sovereign cloud services in Malaysia | Malay Mail
DNeXとGoogle Cloudがマレーシアでソブリン・クラウドサービスを提供する複数年契約を締結
マレーシアのテクノロジー企業 Dagang NeXchange Berhad (DNeX) と Google Cloud は本日、同国でソブリン クラウド サービスを提供する複数年契約を締結したと発表した。
この発表は、アルファベット傘下の Google Cloud が東南アジアでの事業を拡大する中で行われた。Google は 5 月に、マレーシアで初のデータ センターと Google Cloud リージョンを開発するために 20 億ドル (82 億 5,000 万リンギット) を投資すると発表している。
両社は共同声明で、この提携は、特に公共サービス、金融サービス、ヘルスケア、エネルギーなどの規制産業において、厳格なデータ保存、セキュリティ、プライバシー要件を満たすクラウドソリューションの需要に対応することを目的としていると述べた。
【10月2日追記】
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オラクルの投資を発表するザフルル貿易産業相のX投稿 |
インドネシアもAI関連の投資を誘致に意欲
インドネシアもAI関連の投資誘致に熱心だ。
同国には、これまでに、マイクロソフトがAIインフラに、エヌビディアがAIセンターに投資を表明している。
また、Google Cloud は、インドネシアのソブリン・クラウド事業についてインドサット(IDX:ISAT )と提携している。
最近、国営通信社が2日続けて、AIに関連した投資の誘致について大臣クラスの発言をニュース配信した。
国営アンタラ通信の9月28日の記事:
Indonesia seeks to be AI investment destination: minister - ANTARA News
インドネシアはAI投資の目的地を目指している:大臣
ブディ・アリー・セティアディ通信情報大臣は、インドネシアを人工知能(AI)投資の目的地にするよう、情報通信技術(ICT)分野の投資家に呼びかけた。
セティアディ大臣は、AIがASEAN経済にもたらす貢献が2020年の10億ドルから2022年には110億ドルに急増したことを示すデータに基づいてこの発言を行った。
「AI分野の民間投資先は、依然として米国、中国、英国が独占している。しかし、ASEAN地域ではデジタル分野が急成長を続けており、ICT分野への投資は増加している」とセティアディ大臣は金曜日に述べた。
また、彼は国内のデジタル技術エコシステムのプレーヤーに対し、AIをイノベーションとソリューションとして開発する機会をつかむよう奨励した。
同じアンタラ通信の9月29日の記事:
Indonesia has potential in AI, semiconductor: Minister Airlangga - ANTARA News
インドネシアにはAI、半導体の可能性がある:アイルランガ大臣
インドネシアは、ASEAN諸国間で人工知能(AI)と半導体のエコシステムを開発する機会を持っていると、アイルランガ・ハルタルト経済担当調整大臣は日曜日に当地で開催された知識共有およびネットワーキングフォーラムの参加者に語った。
クラクラ経済特区(SEZ)で開催された「未来の経済の形成:AIと半導体」というテーマを強調したこのイベントで、ハルタルト大臣はAIと半導体がインドネシアのデジタル経済の中核要素であると述べた。
この2つは、シンガポールやマレーシアなどの他のASEAN諸国と競争するためのインドネシアの戦略的ツールになる可能性があると述べ、AIと半導体は2023年に国家デジタル経済フレームワークに組み込まれると付け加えた。
関連記事:東南アジアのデジタル経済、2年で2.5倍に利益増加、グーグル・テマセク・ベイン調査
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