マレーシア国産EV(電気自動車)とEV市場[更新]
マレーシア国産EV(電気自動車)とEV市場[更新]
東南アジア株式新聞 2025年9月4日
自動車ハイテクバレー(AHTV)で国産EV量産を開始
New Straits Times の9月4日の記事:
プロトンがタンジュン・マリムに初のEV工場を開設、e.MAS 7でキックオフ
プロトン・ホールディングス(Proton Holdings Bhd)は、マレーシア初の電気自動車(EV)製造工場を開設した。
これは、持続可能な自動車産業の未来に向けたマレーシアの大きな一歩となる。
この工場では、デビューモデルとなるプロトンe.MAS 7の生産を開始し、
その後、近日発売予定のe.MAS 5の生産も開始する。
DRB-HICOMグループのマネージングディレクター、(称号タン・スリ)サイード・ファイサル・アルバー氏は、
この新工場は、2026年までに強力な国内EV産業を育成するという政府の目標達成に大きく貢献するとともに、
地域の自動車産業におけるマレーシアの地位を強化するものだと述べています。
「EV工場の開設は、プロトンにとって新たな重要な節目であり、国内初のEV工場となる。
これはまた、202年までに完全電気自動車を生産するという目標に対する政府のコミットメントと支援を
再確認するものでもある」と同氏はEV工場の開設イベントで、述べた。
タンジュン・マリムは、ペラ州の都市で、クアラルンプールの北方約70キロにある。
新工場はその都市に設けられた自動車ハイテクバレー(AHTV)内の2.2ヘクタールの敷地に
建設された。
投資規模は約8,000万リンギットであり、年間数千台の生産能力を備えている。
物流効率の向上を図るため、プロトンは鉄道資産公社(Railway Assets Corporation)などと協力し、
工場とその周辺地域にサービスを提供する専用鉄道物流ハブの開発を検討している。
国産EV第2号モデルの「e.MAS 5」は現在、マレーシア全土で包括的なテストを行っている。
「手頃な価格の国産EV」として位置付けられており、第13次マレーシア計画に基づく戦略プロジェクトの1つでもある。
これに関連したニュースをもう1つ紹介する。
The Edge Malaysia の9月4日の記事:
アンワル首相、自動車ハイテクバレー開発への投資拡大のため吉利を招請
アンワル・イブラヒム首相は、中国の自動車大手Zhejiang Geely Holding Group Co Ltd(浙江吉利控股集団)
に対し、同地域における自動車ハイテクバレー(AHTV)開発への投資拡大を要請した。
財務大臣も兼務するアンワル首相は、国営自動車メーカーであるペルサハアン・オートモービル・ナショナル社
(プロトン)による巨額投資の結果、AHTVは地域の自動車サプライチェーンにとって重要な拠点となるだろう
と述べた。
アンワル首相は木曜日、プロトンの電気自動車(EV)工場の開設式典での演説で、
「我々はAHTVを吉利にとって重要な拠点にしたいと考えています。吉利はこの機会を捉えて、
自動車製造工場だけでなく、研修・教育のための卓越したセンターも設立すべきだと、李書福会長に伝えました」
と述べた。
吉利を招いたのは、同社がプロトンEV開発の戦略パートナーであるからだ。
それに、AHTVにEV工場を集積させることで、部品メーカーなど関連産業を育成する狙いもある。
アンワル首相はこのときの記者会見で、
上海協力機構(SCO)サミットのための北京滞在時に会ったエジプト首相がプロトンEVを称賛
していた、という話を披露したそうだ。
2025年上半期、EV販売が好調
Paul Tan’s Automotive News の7月17日の記事:
だが、マレーシアの新車販売に占める電気自動車の割合はわずか3.4%程度
マレーシア自動車協会(MAA)の最新データによると、マレーシアにおけるxEVの販売台数は、
2025年上半期に前年同期比で増加した。
2025年上半期には、ハイブリッド車と電気自動車(EV)を含むxEVが合計30,573台販売された。
これは、2024年上半期の22,542台より8,031台、35.6%増加したことになる。
2025年上半期の内訳では、
EVの販売台数は2024年上半期の6,651台から2025年上半期には12,733台とほぼ倍増(91.4%増)した。
この記事が書いている通り、EVはマレーシアの自動車販売台数の中で少数派だ。
だが、EV販売台数の今年の伸びはすごいことも確かだ。
クアラルンプール在住の筆者の肌感覚だと、
BYDをたまに見る。テスラをごくたまに見る。
プロトンの新車を見かけると気をつけてみるのだが、プロトンEVをはっきり識別できたことがない。
東南アジア株式新聞 2025年2月12日
国産プロトンEVの登場でマレーシアEV市場の成長に勢い
マレーシア初の国産EV「プロトン e.MAS 7」が2025年1月に市場投入された。
その1月の統計で、 e.MAS 7が他ブランドと差をつけて、いきなり第1位に躍り出た。
これまで同国のEV市場は中国ブランドに席巻されつつ、ゆっくりと成長してきた。人気のある国産車の登場でEV市場の拡大に勢いが出てきた。
ここで本題に入る前に、別の電気自動車(EV)ネタを1つ紹介する。
最近、マレーシアを公式訪問したトルコのエルドアン大統領は、アンワル首相にトルコ国産EV「TOGG EV」をプレゼントした。
NST Online の2月11日の記事:
TOGG EVは新たな分野での協力拡大への取り組みを象徴 - アンワル首相
首脳会談では、パレスチナ問題や両国経済協力の強化について話し合われ、内容は濃かった模様だ。
さて、マレーシアも国産EVを売り出し始めたところ。トルコ自慢のEVを贈られたアンワル首相の心中はいかに?
Malay Mail の2月11日の記事:
プロトンe.MAS 7が2025年1月にマレーシアで最も人気のEVに
市場ではガソリンとディーゼルが減少しEVが成長
プロトン e.MAS 7 は、2025 年 1 月にマレーシアで最も人気のある EV として浮上した。
道路交通局 (JPJ) の最新の車両登録データによると、先月登録された EV 4 台のうち 1 台が e.MAS 7 であり、
BYD のトップ EV 候補を上回った。
(中略)
プロトン初のEVは先月421台を販売し、最も人気のあるEVモデルとなった。
これに続いて、BYD Sealion 7が151台で第2位、BYD M6が136台で第3位、BYD Atto 3が104台で第4位
となっている。
リストはさらに続き、BMW i5が103台で第5位を獲得し、BYD Sealが95台で第6位に続いた。
Xpeng G6とZeekr 007はともに81台ずつ販売され、第7位を共有した。
1.プロトン e.MAS 7:421台
2.BYD Sealion 7:151台
3.BYD M6 :136台
4.BYD Atto 3:104台
5.BMW i5:103台
テスラ Model Y は、26位(10台)だった。
同記事によると、ガソリン車やハイブリッド車を含めた全体の 2025年1月の登録車数は53,930台で、前年同月比23%減だった。
そのうち、EVは1,691台で、前年同月比20%増となった。
The Sun の2月10日の記事:
マレーシアに新しい自動車市場の風景、中国ブランドのEV浸透で
国内の自動車市場で優位に立っているにもかかわらず、プロトンとプロドゥアは、電気自動車への移行において
ますます大きな圧力に直面することになるだろう。
業界観測筋は、これは中国のEVメーカーがマレーシアで急速に事業を拡大し、競争を激化させ、
市場の動向を再形成し、投資動向に影響を与え、サプライチェーン戦略の変化を促しているためだと考えている。
この記事で取り上げられた専門家の意見を少し取り上げる。
マレーシア科学技術大学の名誉教授バルジョヤイ・バルダイ博士:
「プロトンと中国の浙江吉利控股集団との提携は競争上の優位性をもたらすが、
より大きな市場シェアを獲得するにはより手頃な価格帯のEVモデルが必要だ」
マレーシア・ムアマラート銀行のチーフエコノミスト、モハメド・アフザニザム・アブドゥル
・ラシッド博士:
「これから競争が激化するだけでなく、地元企業間のイノベーションや連携も促進される可能性がある。
価格は依然として主要な差別化要因だが、充電インフラ、メンテナンス、中古市場などの要素が
長期的な成功を形作るだろう」

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