タイの新首相にアヌティン氏(タイの誇り党党首)、軍と親しい王党派
タイの新首相にアヌティン氏(タイの誇り党党首)、軍と親しい王党派
東南アジア株式新聞 2025年9月8日
9月7日、タイで、2年間で3人目の新首相が誕生した。
ぺートンタン前首相が8月末に憲法裁判所判決で失職した後、9月5日に下院議会でアヌティン氏が
選出された。
アヌティン氏は保守系の「タイの誇り党」党首で、王党派で軍部とも親和性が高いと言われる。
経済成長が低迷し、カンボジアとの国境問題を抱える現状、安定した政治運営ができる人物として
期待されている。
最大野党の国民党が、アヌティン氏に「4か月以内の議会解散」を約束させて、
首相選挙でアヌティン支持に回った。
日本経済新聞の9月7日の記事:
タイ、アヌティン首相が就任 「4カ月以内の議会解散を約束」
タイのアヌティン前副首相兼内相が7日、新首相に就任した。ワチラロンコン国王が承認した。
タクシン元首相派が率いる連立政権は崩壊し、軍を支持する保守派を中心とした政権が発足する。
「政権運営に多くの制約はあるかもしれないが、たゆまぬ努力で職務にまい進する」
アヌティン氏は7日、バンコクで開かれた就任式後の記者発表で強調した。
「4カ月以内の議会解散」を改めて約束し、首相在任中はカンボジアとの国境紛争の解決などに
取り組む意向を示した。
近隣諸国での報道を見てみよう。
CNAの9月7日の記事:
タイの大物実業家アヌティン・チャーンウィーラクーン氏が国王の承認を得て首相に就任
タイの実業家アヌティン・チャーンウィラクン氏が9月7日(日)、首相に就任した。
大麻を擁護する保守派の同氏は、国の有力な政治王朝を打倒し、来年初めの総選挙に向けた道筋を固めた。
(中略)
アヌティン氏はこれまで副首相、内務大臣、保健大臣を歴任してきたが、おそらく最もよく知られているのは、
タイにおける2022年の大麻非犯罪化の立役者だろう。
建設王のアヌティン氏は、2年間で3人目の首相となるが、連立政権の支持を得て政権に就いたが、
その条件として、4ヶ月以内に議会を解散し、新たな選挙を実施することとした。
アヌティン氏は就任直後、「国民と国家の利益のために、国王陛下の信頼に恥じぬよう、誠実さと道徳心
をもって全力を尽くします」と述べた。
「時間は限られていますが、皆様のご協力を期待しています」と記者団に語った。
副首相、内務相、保健相などを歴任しているが、
最も有名な業績は「大麻の合法化」と書かれた。
同じCNAの9月5日の記事で、政治家としての経歴を詳しく書いている。
実業家出身としてタクシン氏と似ているとも評されている。
タイのアヌティン・チャーンウィーラクーン:建設業界の御曹司から首相へ
(前略)
58歳のアヌティン氏の台頭は、ぺートンタン氏の億万長者である父タクシン・シナワット氏が設立した
タイ愛国党で政界入りを果たして以来、数十年にわたり続いてきた。
近年、東南アジア第2位の経済大国タイにおけるアヌティン氏の影響力拡大は、主にタイ政界では
比較的新進気鋭で、東北地方南部の農村にルーツを持つプムジャイタイ党を通じて行われている。
2019年と2023年の2度の選挙サイクルにおいて、専門家らはアヌティン氏を首相候補の1人と目して
おり、党派を超えた影響力を持つことから、連立政権を率いる可能性が高いとみられていた。
(中略)
アヌティン氏と彼の政党は、地方政治を支配する有力な一族と、
影響力のある王党派・保守派エスタブリッシュメントの一部とを繋ぐ稀有な架け橋だと、
アナリストのナポン・ジャトゥシピタク氏は述べた。
シンガポールのISEASユソフ・イシャク研究所の客員研究員であるナポン氏は、アヌティン氏について、
「彼は非常に現実的な政治家であり、タクシン・シナワット氏と全く同じ資質を持っている」と述べた。
アヌティン氏は公然と王党派であり、崇敬される王室の維持に尽力している。
「今、彼は自身の政党を、タイにおける保守派の利益を守る最も信頼できる存在へと位置づけている」
(以下略)
隣国マレーシアの首相はアヌティン氏を「良き友」と呼んだ。
マレーシアのStarの9月7日の記事(中身は国営ベルナマ通信):
アンワル首相、タイの新首相アヌティン・チャーンウィラクン氏に祝意
アンワル・イブラヒム首相は9月7日(日)、タイの新首相に就任したアヌティン・チャーンウィラクン氏に
祝意を表した。
アンワル氏はFacebookへの投稿で、本日午後遅くに電話でアヌティン氏に祝意を伝えたと明かした。
「彼はいつも私の良き友であり、苦楽を共にしてきたので、喜びを伝えました。
「私はまた、二国間関係の強化、タイとカンボジアの国境の動向、ASEAN協力など重要な問題について
話し合うため、近い将来にマレーシアへの実務訪問に彼を招待した」と彼は述べた。
国境問題を抱えた側の隣国カンボジアの政府系 Khmer Times の9月8日の記事:
フン・マネ氏、アヌティン氏のタイ首相選出を祝福、二国間関係の再構築を呼び掛け
(前略)
本日バンコクに送られた公式メッセージの中で、フン・マネ首相はアヌティン氏の勝利を
「首相のリーダーシップへの強い信頼の反映」と称賛し、首相の指導の下、
タイは「より大きな進歩を遂げる」と確信していると付け加えました。
フン・マネ首相は、カンボジアとタイの緊密な地理的、歴史的、文化的絆を強調し、
両国民にとっての「平和、調和のとれた共存、そして繁栄の共有」の重要性を強調しました。
近年緊張関係にある両国の関係改善に向けて、両政府が協力していくことを期待すると述べました。
タイ株を代表するSET指数は、新首相誕生後の最初の営業日である8日(月)、0.10%上昇した。
ぺートンタン前首相のときはしばらくご祝儀相場のような展開だったが、今回はどうだろうか?
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