対中145%関税の導入は米国株の負け・習近平主席は来週、東南ア訪問
東南アジア株式新聞 2025年4月11日
対中145%関税の導入は米国株の負け・習近平主席は来週、東南ア訪問
米国が4月10日、対中関税を125%から145%へ引き上げた。
米国株式は急落。NYダウが前日比-2.49%、S&P500が-3.46%、NASDAQが-4.30%。
前日には中国以外の国への追加関税を90日間延期したことで世界的な株式急騰をもらたしたが、関税戦争を止めようとしないトランプ政権に米国の株式市場はドン引きした形だ。
11日のアジア株式は、高安まちまちとなった。
日経平均株価は約3%下落。
香港ハンセン(+1.13%)と上海総合(+0.45%)は上昇。
シンガポールとマレーシアの市場指数は下落したが、インドネシアIDX総合は少し上昇。
11日午後、中国は12日から米国からの輸入品に125%関税を課すと発表し、米中間税戦争はエスカレートした。
同日それより早く、中国外務省は11日、習近平(シー・ジンピン)国家主席が14〜18日にベトナム、マレーシア、カンボジアを訪れると発表した。
近くの貿易相手である東南アジア諸国との関係強化を図る狙いだが、サプライチェーン多角化の中国プラス1戦略で選ばれる筆頭の国、ASEAN議長国、ASEANの中の親中国の3か国を訪問先としたのは中国らしいというか、興味深い。
米中製造業のコストギャップは関税では埋まらない
中国の製造業の強さを理解するには、以下のCNAのドキュメンタリー(4月10日投稿)がよくまとまっている。
AI管理の無人工場と超低賃金のブラック工場で武装した中国メーカーは、東南アジアで操業してきた日本メーカーを駆逐する勢いだ。
US-China Tariff War: What Will Southeast Asia's Manufacturers Stand To Lose? | When Titans Clash
米国が製造業のコスト競争力を取り戻すには、AI管理の無人工場で対抗するしかなく、米国で雇用は増えないことになる。
そこで、米国は関税でコストギャップを埋めることを選択したのかもしれない。
しかし、中国が関税戦争に乗ってきたことで、始めた途端に米国の思惑外れが見えてきたように思える。
マレーシアとインドネシアは11日も対応策を協議
マレーシアのザフルル投資貿易産業相のX投稿によると、インドネシアの外務副大臣がマレーシアを訪問し、ザフルル大臣と協議した。
隣国とは言え、毎日のように両国は大臣らが直接話している。
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ザフルル大臣のX投稿(4月11日) |
(投稿文の全訳)
インドネシア🇮🇩 (32% ➡ 10 %)とマレーシア🇲🇾 (24%➡ 10 %) 。両国とも安堵のため息をつくことができる。
米国の関税停止はわずか90日間だが、すべての国に、特に米国との交渉において戦略を練る余地を与えることになる。
インドネシア外務副大臣アリフ・ハバス・オエグロセノ閣下とお会いし、米国の関税を含め、両国関係の最新動向について話し合うことができ光栄です。マレーシアは、継続的な対話と協力を通じて、これらの貿易上の課題に対処し、共に機会を捉えることができると確信しています。
マレーシアは、特にASEAN 2025の議長国として、より繁栄し包括的なASEANを実現するために、インドネシアとの関係強化に尽力しています。
(おまけ)10日のマレーシアのアンワル首相のX投稿:
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アンワル首相のX投稿(4月10日) |
今朝、ニュージーランドのクリストファー・ラクソン首相から電話がありました。我々は、いくつかの現在の問題、特に米国が課している貿易関税とそれが地域に与える影響について議論し、意見を交換しました。
私は、すべての加盟国にとって公平でバランスのとれた解決策を模索する上で、常に交渉と団結の精神を優先するマレーシアとASEANの立場を改めて強調します。
私はまた、あらゆるフォローアップ措置が徹底的かつ効果的に調整されるよう、ASEANが地域的コンセンサスを強化する必要性を強調します。
この会話の中で、私はラクソン首相に、この問題を徹底的に検討し、最善の共同アプローチを考案するために本日開催されるASEAN経済大臣特別会議をマレーシアが主催することについても伝えました。
マレーシアは、二国間パートナーとしてだけでなく、ASEANの枠組み内でもニュージーランドとの協力を継続的に強化することに尽力しています。
我々は、より包括的かつ強靭な地域経済の方向性を形成するために、他の主要貿易相手国との対話と交渉を継続していきます。
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