ADB予測:アジア経済成長が減速、米関税による打撃は2026年に大きく
東南アジア株式新聞 2025年4月9日
ADB予測:アジア経済成長が減速、米関税による打撃は2026年に大きく
米国東部時間0時1分にトランプ相互関税の各国版が発効した4月9日、アジアの株式市場には、香港が上げるなど、強気も残っていた。
日経平均株価は前日比3.9%安。
香港ハンセンは前日比0.68%高。
シンガポールとマレーシアの指数は2%以上下落したが、タイSETが1%強上げた。
中国が夜に米国への報復関税(米国が中国に課したのと同じ84%)を10日から実施すると発表し、米中関税戦争は激化。
米関税対策を練る東南アジア各国に大きな動きはなかった。
ASEAN各国はそれぞれ米国へ交渉団を派遣するとともに、ASEANの協調戦略も追求する姿勢を示している。
そんな9日に、アジア開発銀行(ADB)が「アジア経済見通し2025年4月版」を発表した。
予測値の確定はトランプ相互関税の発表前だったと言うが、それでもアジア途上国の経済成長が鈍化すると予想している。
特別分析としてトランプ相互関税のインパクトを推計。それによると、アジア途上国(中国を除く)の経済成長は、2025年で0.2%ポイント下押し、26年で0.8%ポイント下押しインパクトを受けると予想している。アジア途上国は2025年より2026年に大きな打撃を受けることになる。
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アジア経済見通し2025年4月版 |
アジア開発銀行の4月9日のニュースリリース:
ADB、アジア・太平洋地域の成長減速を予測
https://www.adb.org/news/adb-sees-growth-declining-asia-and-pacific
アジア開発銀行(ADB)は、アジア・太平洋地域の開発途上国経済の2025年の成長見通しを、昨年の5.0%から減速となる、4.9%とする最新予測を示した。
堅調な内需と、人工知能の利用拡大を背景とした世界的な半導体需要の増加が成長を支えている一方で、関税措置や貿易に関する不確実性が経済の逆風となる。ADBが本日発表した『アジア経済見通し2025年4月版』(Asian Development Outlook (ADO) April 2025)によると、アジア・太平洋地域の来年の成長は4.7%とさらに低下する見通し。世界的な食料およびエネルギー価格の低下を背景に、インフレ率は2025年に2.3%、2026年には2.2%へと緩和される見通しである。
本成長予測は、米国政府が4月2日に新たな関税措置を発表する前に確定されたため、基準となる予測には、それ以前に導入されていた関税のみが反映されている。ただし、『アジア経済見通し2025年4月版』では、関税引き上げがアジア・太平洋地域の成長に与える影響についての分析も掲載している。
アルバート・パークADBチーフエコノミストのコメント:
「アジア・太平洋地域の途上国経済は、強固なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に支えられており、この厳しい世界情勢において、それらが地域の強靭性を支えている。関税の引き上げ、米国の政策についての不確実性、さらには地政学的緊張の高まりの可能性は、経済の先行きに対する重要なリスク要因である。アジア各国が、これまで地域の成長と強靱性を支えてきた自由貿易および投資の推進に引き続き取り組んでいくことが重要である」
ADBの東南アジア主要国の経済成長率予測
その他のアジア
2025年4月版では、Speceial Analysis として米国相互関税のインパクトを推計している。
米国の相互関税がアジアの発展途上国に与える影響
米国経済は最も大きな打撃を受けますが、2026年には世界の他の国々への影響はさらに大きくなります。
米国の相互関税がGDP成長に与える影響の推定
4月版のアジア途上国(中国を除く)経済成長ベース予想は(2025年)5.0%、(2026年)5.1%。
トランプ相互関税のインパクトで、(2025年)4.8%、(2026年)4.3%まで下がる。
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