東南アジアで快進撃している中国の飲料メーカー(チャジー、ミーシュエ、ラッキン)

 

東南アジア株式新聞 2025年4月25日

東南アジアで快進撃している中国の飲料メーカー(チャジー、ミーシュエ、ラッキン)

東南アジアで、中国ブランドの飲料店が急速に店舗(独立店舗やフードコートなどの小型店舗)を増やしている。


クアラルンプール(KL)に住む私の個人的な感覚では、チャジー(覇王茶姫)とミーシュエ(Mixue)の店がこの2、3年で主なショッピングモールのどこでも見るくらいに増えた。

マレーシアの今年の話題は、ラッキンコーヒーの進出だ。


東南アジア市場での飲料店の競争は激しい。

他の東南アジアの大都市でも事情は同じだが、スターバックスやマックカフェがあるほか、地元ブランドの飲料店チェーンもいくつかある。

とんでもなく混雑した市場で、中国3社は爆進している。



チャジーのロゴ



チャジー(Sichuan Chagee Enterprise Management Co., Ltd、四川茶姬、NASDAQ:CHA)

  • 2017年に雲南省昆明市で創業

  • 本社は四川省成都市

  • 2025年4月17日にNASDAQ上場


4月18日のロイター電:

Chinese tea chain Chagee valued at $6.2 billion as shares pop in Nasdaq debut | Reuters

中国茶葉チェーンの茶芸(チャジー)(CHA.O)は、木曜日のナスダック上場初値で株価が21%上昇し、時価総額62億ドルを確保した。米中貿易戦争によるボラティリティをものともしない。同社の米国預託証券(ADS)は、新規株式公開(IPO)価格の28ドルに対し、1株33.75ドルで初値を付けた。


  
チャジー株の上場来(2025年4月24日、NASDAQ公式サイトより)
チャジー株の上場来(NASDAQ公式サイトより)



   
ミーシュエのロゴ




ミーシュエ(Mixue Ice Cream & Tea、蜜雪冰城、HKEX:2097)

  • 1997年に河南省鄭州市で創業

  • 2025年3月3日に香港上場


The Edge Malaysia の3月3日の記事(中身はブルームバーグ電):

Bubble-tea giant Mixue surges 43% after HK’s biggest IPO of year

中国最大のタピオカティーチェーンであるミシュエグループは、34億5000万香港ドル(4億4400万米ドルまたは19億リンギット)という巨額の新規株式公開(IPO)に個人投資家が殺到したことから、香港市場での取引開始で株価が急騰した。


   
ミーシュエ株の上場来(2025年4月25日、HKEX公式サイトより)
ミーシュエ株の上場来(HKEX公式サイトより)



  
ラッキンコーヒーのロゴ




ラッキンコーヒー(Luckin Coffee、瑞幸咖啡、OTC Pink:LKNCY

  • 2017年に北京で創業

  • 本社は福建省厦門市

  • 2020年に粉飾決算でNASDAQ上場廃止、現在はOTC Markets で株が取引されている

  • 2025年1月にマレーシアに初店舗


   
ラッキンコーヒー株の1年間(2025年4月25日、同社公式サイトより)
ラッキンコーヒー株の1年間(同社公式サイトより)



最近の3社の躍進ぶりを解説した良い記事を見つけた。

筆者は、リー・コック・ハウ氏(起業家であり、シンガポール経営大学(SMU)の準教授)


CNA の4月25日の記事:

解説:チャジー、ミーシュエ、ラッキンは競争の激しい市場でいかに成功を収めているのか

Commentary: How Chagee, Mixue and Luckin are brewing success in a crowded market - CNA


(前略)

グローバル市場を制覇するには、野心だけでは不十分です。運も同じく不十分です。国際的な成功への道のりはそれぞれ異なりますが、共通しているのは、ブランドポジショニングと戦略実行に対する深い理解です。


以下、リー氏が指摘しているポイントを少し紹介する。


明確なブランドポジショニング

チャジー

洗練された文化を核としたプレミアムティーブランド。

紫禁城故宮博物院との共同ブランディング、上海ファッションウィーク2024におけるアンジェル・チェンとのパートナーシップ、ゴッホをテーマにしたコレクションなど。


ラッキンコーヒー

都会的で若者向けの利便性に重点。

ビデオゲーム「Black Myth: Wukong(黒神話:悟空)」、子供向け番組「セサミストリート」、人気マスコット「バターベア」、NBAのヒューストン・ロケッツとのパートナーシップ。


Mixue

大衆市場への進出を軸

著名人との提携ではなく、キャッチーなジングルと独自のマスコットキャラクター「Snow King」。


消費者との感情的な繋がり

チャジー

限定性へのこだわり。

中国では、故宮をテーマにした限定版のブラインドボックスブックマークと、ゴッホをテーマにしたブランド商品。マレーシアでは、地元ファッションブランドPestle & Mortarとの限定コラボレーション。


ラッキンコーヒー

中間的な位置づけ。

シンガポールでは、漫画キャラクターのマルタの着せ替えステッカーを提供。


Mixue

シンプルで大衆向け。

春節の紅包や、スノーキング魔法瓶、ガラス製タンブラー、ぬいぐるみ、スナックなどのラッキーくじの賞品を提供。







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