米国「相互関税」前日、ダーティ15 リストに入っている国は?

 

東南アジア株式新聞 2025年4月2日

米国「相互関税」前日、ダーティ15 リストに入っている国は?


日本経済新聞の4月2日の記事:

トランプ氏、日本時間3日朝5時に演説 「相互関税」表明へ

米政府は1日、トランプ米大統領が米東部時間2日午後4時(日本時間3日午前5時)にホワイトハウスで演説すると発表した。貿易相手国と同水準まで関税率を引き上げる「相互関税」について、詳細を明らかにするとみられる。


トランプ大統領は選挙戦の頃から、「相互関税(reciprocal tariffs)」を設ける意向を明らかにしている。「目には目、関税には関税、まったく同じ金額を」という発言もあった。


どこの国がターゲットなのか?

「共産主義・中国のような戦略的競争国であろうと、欧州連合(日本)や日本、韓国のような同盟国であろうと関係ない」とホワイトハウス高官が語ったと2月13日に報道されている。

つまりは、単純に米国の貿易赤字が大きい国だろうと思われ、ベッセット財務長官が言った「ダーティ15(Dirty 15)」のリスト作りを多くのメディアが試みている。


下で見るように、たいていは、15か国・地域の推定リストが作られている。

もっとも、財務長官が言ったのは「15%」ということらしいのだが……。

CNBCの4月1日の記事:

https://www.cnbc.com/2025/03/31/trump-tariffs-dirty-15-reciprocal-retaliation.html

スコット・ベッセント財務長官は3月18日のフォックス・ビジネスのインタビューで、いわゆる「ダーティ15」を名指しした。

彼が言及したのは、米国の貿易量の大半を占めながら、米国製品に高額な関税やその他の「非関税障壁」を課している15%の国々だ。

ベッセント長官はこれらの国々の名前を挙げなかった。



リスト入り推定の国・地域、アジアが過半


日本経済新聞の3月25日の記事:

米相互関税「ダーティー15」に照準 日本やEU対象か

トランプ米大統領が看板政策の「相互関税」の標的を絞り込む可能性が出てきた。「ダーティー15」と呼ぶ高関税や非関税障壁が残る国・地域が対象になる見通しだ。欧州連合(EU)やカナダ、メキシコなど貿易赤字の多い国・地域が中心になるもようで、日本も含まれる可能性が高い。

日経の推定した15か国は以下。

中国、メキシコ、ベトナム、アイルランド、ドイツ、台湾、日本、韓国、カナダ、インド、タイ、イタリア、スイス、マレーシア、インドネシア



WSJの3月24日の記事:

Who Are the ‘Dirty 15’ Trade Partners?

トランプ政権は、米国との貿易不均衡が続いている国の約15%に関税を課すことに注力している。これは先週スコット・ベッセント財務長官が述べた、いわゆる「ダーティ15」と呼ばれるものだ。

政権はリストを発表していないが、対象となる国は、先月、米国通商代表部が連邦官報で示したリストに近いものになると予想されている。この官報では、コメント投稿者に対し、米国との貿易不均衡がある経済に焦点を当てるよう指示している。

米国が最大の物品貿易赤字を抱えている国はどこだろうか。昨年は、降順で中国、EU、メキシコ、ベトナム、台湾、日本、韓国、カナダ、インド、タイ、スイス、マレーシア、インドネシア、カンボジア、南アフリカだった。



CNAの4月1日の記事:

The 'Dirty 15' economies that could be hardest hit by Trump's reciprocal tariffs - CNA

(前略)

ベッセント氏はこれら15カ国の貿易相手国名を挙げなかったが、米商務省のデータによると、2024年に米国との貿易黒字が最も大きかったのは中国で、2,954億ドルだった。

これに続いて、EU、メキシコ、ベトナム、アイルランド、ドイツ、台湾、日本、韓国、カナダ、インド、タイ、イタリア、スイス、マレーシアが続いた。




日経

WSJ

CNA

1

中国

中国

中国

2

メキシコ

EU

EU

3

ベトナム

メキシコ

メキシコ

4

アイルランド

ベトナム

ベトナム

5

ドイツ

台湾

アイルランド

6

台湾

日本

ドイツ

7

日本

韓国

台湾

8

韓国

カナダ

日本

9

カナダ

インド

韓国

10

インド

タイ

カナダ

11

タイ

スイス

インド

12

イタリア

マレーシア

タイ

13

スイス

インドネシア

イタリア

14

マレーシア

カンボジア

スイス

15

インドネシア

南アフリカ

マレーシア


おそらく各社とも、同じ米商務省の統計を見ていると思われるが、少しずつ違っているのがおもしろい。

正確なリストはトランプ政権しか知らないため、アジア時間3日朝の発表を待つしかない。


だが、どうやらアジアの国・地域がダーティ15の過半数を占めるようだ。

WSJ推定では、10か国・地域がアジアだ。


アジア地域の中では、

  • 中国がすでにトランプ関税の対象国となっている

  • 自動車関税で日本と韓国が大きなダメージを被ると予想されている


これまでは名指しの標的になっていない国も「相互関税」ターゲットになる可能性がある。


最近の報道によると、リスト入り濃厚な国のいくつかは少しでもダメージを緩和するため対米ディールや外交に努力している。

  • ベトナムは、米国企業と40億ドルのエネルギー・鉱物取引を締結、米国からの輸入関税下げも報道されている

  • インドは、米国からの輸入品に対する230億ドル相当の関税を削減する用意があると公言

  • 韓国と日本は政府高官をワシントンに派遣するなど外交努力をしているが、防衛負担増額とアラスカ産天然ガス購入などもディール候補


タイ、マレーシア、インドネシアはどう動くのか。

トランプ相互関税の中身が発表される明日以降、アジアの主要国の政府が忙しくなることは間違いない。




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