2024年アジア太平洋のM&Aの中心地はマレーシア?

東南アジア株式新聞 2024年7月16日


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トランプ狙撃事件や中国の減速データを受けて、守りの日となった。

2024年アジア太平洋のM&Aの中心地はマレーシア?


7月16日、ブルームバーグが『Bankers chase more M&As in Malaysia as deal volume nearly doubles』(マレーシアでディールがほぼ倍増、銀行家らはさらなるM&Aを狙う)という記事を配信した。

マレーシアの経済ニュースメディア The Edge Malaysia やシンガポールの The Strait Times は、この記事を大きく掲載した。


「アジア太平洋地域でのディールが厳しい年となった中、マレーシアは明るい兆しを見せている」とその記事は語っている。

ブルームバーグがまとめたデータによると、マレーシアの2024年の合併・買収(M&A)ディール件数は前年比87%増の83億ドル(388億リンギット)に急増したが、アジア太平洋地域全体では15%減少している。  

マレーシアのM&A、ブルームバーグのデータから作成
ブルームバーグのデータから作成

最大の案件は、グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)とアブダビ投資庁が参加したマレーシア・エアポート・ホールディングス(MAHB)の120億リンギットでの買収だ

この取引はGIPの親会社ブラックロックが親イスラエルと見られ、イスラム教徒が多いマレーシアで反対に直面しているものの、政府はそのまま認める姿勢を示している。


ブルームバーグが取材したバンカーズ(銀行家たち)は、さらにM&Aディールが活発化すると予想している。

根拠の1つは、テクノロジー分野でマレーシアがグローバル大手企業から注目されていることだ。

「テクノロジーは魅力的だ。アルファベット傘下のグーグル、マイクロソフト、エヌビディアなどの大手企業は、マレーシアの人工知能への野望を支援するために数十億ドルを投資する計画を発表した。また、政府は半導体産業に少なくとも250億リンギットを投じると約束している。」


根拠の2つ目は、中国に代わる選択肢としての東南アジア、その中でのマレーシアだ。

中国ほどの巨大経済圏ではないにしても、東南アジアもそこそこ大きな経済圏に育った。

マレーシアは機会あるごとに、東南アジア諸国連合(ASEAN)のビジネス・ハブとして売り込んでいる。

先進国シンガポールが抜群のビジネスインフラを持つが、そこで事業をするコストも上昇しているため、インフラでは少し劣るがコスト安めのマレーシアに目が移る。


また、中国の企業から見ると、生産・流通拠点の分散化先として、マレーシアが良さそうに見える。

「在マレーシアのオーバーシー・チャイニーズ・バンキング・コーポレーション(OCBC)のマネージングディレクター兼投資銀行部門責任者、タン・アイ・チン氏は、中国企業も事業を拡大し、買収を狙っ​​ていると述べた。両国間の強いつながりにより、マレーシアは中国企業にとって、特に先進製造業、再生可能エネルギー、電気自動車などの分野での取引の格好の獲物となっていると同氏は言う」


マレーシアにはそれらの分野でビジネスをしている複合企業もいくつかあり、製造業には中堅企業が多数いる。


そのほか、上場株式市場や通貨リンギットが堅調であることも、好条件になっているという。

現在の政府の政策も良い。

アンワル政権は、ハイテク工業や先端エネルギー開発を振興しているし、グローバルなM&Aプレイヤーがマレーシアで活動することを嫌っていない。

「人口約3400万人のマレーシアは、金融サービスや小売業などの分野に投資しているCVCキャピタル・パートナーズや、医療や教育に投資しているTPG Incなどのプライベート・エクイティ・ファームを誘致している」


最後に、マレーシア国内にもM&Aの主役になれるプレイヤーが存在する。

「マレーシアはインドネシアに次ぐ世界第2位のパーム油生産国であり、ペトロリアム・ナショナル社(通称ペトロナス)や、トップ・グローブ・コーポレーション社(KL:TOPGLOV)、アシアタ・グループ社(KL:AXIATA)、政府系ファンドのカザナ・ナショナル社などの企業が拠点を置いている」




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