政府系ファンド|カザナ・ナショナル(Khazanah Nasional Bhd)[更新]

政府系ファンド|カザナ・ナショナル(Khazanah Nasional Bhd)


  • マレーシアの政府系ファンド、財務大臣が全株式を管理

  • 1993年に設立

  • マレーシアの長期的な経済成長を促進するため戦略的に投資するのが役割





カザナ・ナショナルの6月24日の発表:

ジェラワン・キャピタル、第1弾のEMP・RMIファンドマネージャーを選定

EMPとRMIの下で5つのVC企業が選定された

地元のマネージャーの能力を強化し、マレーシアのVCエコシステムに世界的なVCの専門知識を導入


EMP(新興マネージャーを育成)に選出された3社

  • Vynn Capital – マレーシア発祥のベンチャーキャピタル企業。シードからシリーズAまでの投資ステージにおいて、東南アジアのモビリティ&サプライチェーン分野に注力。

  • Kairous Capital – プライベート・エクイティをルーツとし、テクノロジー分野への投資を行うベンチャーキャピタル企業。マレーシアのスタートアップ企業のベトナム、タイ、インドネシアなどの主要東南アジア市場への進出を支援。

  • First Move – 東南アジア全域でプレシード段階のスタートアップを支援するベンチャーキャピタル企業。セカンド起業家や分野の専門家と提携し、初期投資家としてだけでなく、共同創業者としても積極的に支援。


RMI(地域ベンチャーに投資)のパートナーとして選定された2社

  • AppWorks – 台湾発のアーリーステージVC。エクイティフリーのアクセラレーターと創業者主導の資本を融合させ、東南アジアのテクノロジー系スタートアップの規模拡大を支援している。投資対象は、東南アジアにおける人工知能、ブロックチェーン、デジタル経済。

  • Granite Asia – アジア全域で投資する有力マルチステージ・インベスター。これまでに115社以上のユニコーン企業を育成し、世界で61社のIPOを達成。コンシューマーテクノロジー、エンタープライズソフトウェア、ヘルスケア、先端的な製造、オートメーションといった分野に実績。



カザナのマネージングディレクター、ダト・アミールル・ファイサル・ワン・ザヒル氏のコメント:

「ダナ・インパックとジェラワン・キャピタルを通じて、私たちは触媒とコネクターの両方の役割を

果たしています。

資金提供者、創業者、そして機関投資家を結びつけ、機敏なスタートアップ企業から中規模企業、

そして大企業までを支援するベンチャーエコシステムを強化しています。

私たちは資金だけでなく、参加者を集め、イノベーションが繁栄するエコシステムを構築し、

マレーシアの経済競争力とレジリエンスを高めることに重点を置いています」


ダナ・インパック(Dana Impak )は、カザナのインパクト投資ファンド。

ジェラワン・キャピタル(Jelawang Capital)は、カザナのFOF(ファンド・オブ・ファンズ)。



2024年の年間成績:NAVが大幅に増加、時間加重収益率 24.6%


2月5日のプレスリリース:

2024年の営業利益はRM51億、マレーシアの投資の好調な実績と重要な価値創造イニシアチブ


2024年のハイライト

  • 営業利益 51億リンギット

  • 2024年のNAV TWRR(時間加重収益率)は24.6%と好調で、2023年の5.7%から増加

  • NAV(純資産価値)は1036億リンギットで、2023年度から188億リンギットの大幅な増加となり、投資の大幅な成長を示した

  • マレーシアのベンチャーキャピタル・エコシステムの成長を加速させるために、インパクトファンドイニシアチブである Jelawang Capital を政府系ファンド・オブ・ファンズ(FOF)として設立した

  • K-Youthプログラムを通じて、B40コミュニティを含む8,222人の若者にインパクト



カザナのマネージングディレクター、アミールル・ファイサル・ワン・ザヒル氏のコメント:

2024年に当社のポートフォリオは大幅に成長しました。これは、マレーシア投資の好調なパフォーマンス、特にKLCI指数を上回る主要構成銘柄の保有が牽引役となり、国内市場の好調なパフォーマンス、先進国市場の公開株式の継続的な成長、新興国市場の回復を背景にしたものでした。

当社の好業績は、マレーシア首相が推進するMADANI経済フレームワークによっても推進されており、戦略的投資と持続可能な慣行がいかに包括的な経済成長を促進できるかを示しています。


我々は、マレーシアが政治的安定と明確な政策指針に支えられ、今後も回復力を維持していくと確信しています。国内外からの多額の投資流入は、我が国の持続的成長の可能性に対する信頼を反映しています。実際、私たちはマレーシアの発展という使命を継続する中で、政府、企業、NGO、投資家、そして国民など、あらゆる関係者と協力することを楽しみにしています。





2025年1月10日のプレスリリース:

カザナのマレーシア発展戦略:IR4.0のイノベーションと

デジタル経済の発展を推進するマレーシアの若者の育成


カザナ・ナショナルは、戦略的投資とともに、人材育成が国の成長と進歩に不可欠であると固く信じています。熟練した労働力は生産性を高め、イノベーションを促進し、世界舞台におけるマレーシアの競争力を高めます。

カザナのマネージングディレクター、アミールル・ファイサル・ワン・ザヒル氏は、「カザナは、若者がIR4.0のスキルに適応し、雇用可能性を高めるためのトレーニングと育成に投資しているK-Youthとダナ・インパックの42MYイニシアチブを誇りに思っています」と語った


IR4.0:インダストリー4.0のこと。


K-Youth:ホスピタリティ&サービス、機械&設備、デジタル&テクノロジーなどに焦点を当てた、即戦力を要請する職業訓練プログラム。2024年に、8,000 人以上の若者がスキルアップし、83% が就職を確保しました。 2025年にさらに2億リンギットを支出し、11,000人以上の若者に恩恵をもたらす予定。


ダナ・インパックと42マレーシア(42MY):ダナ・インパックはカザナのインパクト投資イニシアティブ。42MYは、カザナがサンウェイ・エジュケーション。グループ(SEG)と組んで作ったソフト開発者要請スクールのネットワーク。この2つを組み合わせて、2030年までに1万人の高スキルのエンジニアを育成する。





東南アジア株式新聞 2024年10月17日

カザナ、マレーシアのVCエコシステムを強化するプログラムを始動

マレーシア政府系ファンドのカザナ・ナショナル(Khazanah Nasional Berhad)は、

同国のベンチャー・キャピタル(VC)のエコシステムを強化するプログラム 2種を始動した。

  • 新興ファンドマネージャー・プログラム(EMP):マレーシア国内の新興VCを

カザナ参加のFOFで支援する
  • 地域ファンドマネージャー・イニシアチブ(RMI):マレーシア起業家を支援し、

国際的なVCを誘致


カザナの発表文の中で、

マネージングディレクター、(称号ダト)アミルル・ファイサル・ワン・ザヒル氏は、

「NFOFはEMPの下で地元のチャンピオンを生み出すことに重点を置き、

同時に国際的な資本とパートナーを誘致していきます。

これらの取り組みにより、地元と国際的な専門知識、視点、知識を融合し、

進歩と前進を促進する活気のあるエコシステムを促進することができます」と述べた。


10月15日の発表文

カザナ・ナショナル・ベルハドは、

ナショナル・ファンド・オブ・ファンズ(NFOF)の下で

新興ファンドマネージャー・プログラム(EMP)と

地域ファンドマネージャー・イニシアチブ(RMI)を立ち上げます。

これらのイニシアチブは、

今年7月にカザナがマレーシア・ベンチャーキャピタル・マネジメント(MAVCAP)と

ペンジャナ・カピタル(PK)を買収したことに続くものです。


【新興ファンドマネージャー・プログラム(EMP)】

  • NFOF は新興の国内VCの資金調達活動を支援

  • NFOF からの資本コミットメントにより、国内VCへの投資を呼び込む

  • その結果として、マレーシアにおけるイノベーション主導のスタートアップの存在感を高める

  • 2024 年 11 月に開始予定の EMP は、マレーシアまたは海外に拠点を置く 1 番目、2 番目、

または 3 番目のファンドを調達している 、すべてのマレーシアVCに開放される


【地域ファンドマネージャー・イニシアチブ(RMI)】

  • マレーシアのスタートアップが地域およびグローバル・プレーヤーとして成長することを支援

  • グローバル企業のマレーシアへの再本拠地化を促進

  • これらにより、国際的なVCがマレーシア進出することに価値を見出す



関連情報として、上記発表の翌日、地元紙 The Star が掲載した記事を紹介する。

マレーシアではVC産業育成への期待が高いことがわかる。


The Star の10月16日の記事:

Malaysia a magnet for venture capital | The Star

マレーシアはベンチャーキャピタルを引き付ける

マレーシアは、コスト面での優位性と市場の拡張性から、

東南アジア地域におけるベンチャーキャピタル(VC)の主要な投資先として急速に台頭しており、

世界的なファンドの関心を集めている。


この記事では業界関係者 4人のコメントを書いているが、そのうち 2人のコメントを抜粋する。


リタイアメント・ファンド社の最高投資責任者ハズマン・ヒルミ・サラフディン氏:

「マレーシアには優れた企業があります。

シンガポールの環境、社会、ガバナンスのファンドが同国への進出を検討しているのが見られます。

結局のところ、コスト面で優位性があるからです。

マレーシアへの進出を検討しているVCファンドは増えています。

今年、我々は6つのグローバルVCファンドに投資しました。

米国VC 3つ、欧州VC 2つ、シンガポールVC 1つで、

これらのファンドはシンガポールにオフィスを開設する予定です」


ファンディング・ソサイエティーズ・マレーシアのカントリーヘッド、チャイ・キエン・プーン氏:

「数年後には、これらのベンチャー企業やプライベートエクイティから資金提供を受けた企業はすべて、

シンガポール市場がさらなる成長に十分な規模ではないため、

シンガポールから撤退する必要があるでしょう。

最近、シンガポール企業の多くが、シンガポールに登録しているにもかかわらず、

市場に出る際に最初の拠点としてマレーシアを選んでいるのを目にしています」




カザナ、マレーシア証券委員会と共同で、中堅企業(MTC)の資金調達を支援

マレーシア政府系ファンドのカザナ・ナショナルは同国の中堅企業(mid-tier companies)の資金調達を

支援するためにマレーシア証券委員会と共同プログラムを始めた。

60~100のMTCを対象にした資金調達インキュベーションや能力構築プログラムを提供する。


10月17日の発表文

マレーシア証券委員会(SC)は本日、ダナ・インパック・ファンドを通じて

カザナ・ナショナル・ベルハド(カザナ)と覚書(MoU)を締結し、

マレーシアの中堅企業(MTC)が資金調達へのアクセスを増やし、資本市場を熟知して、

成長と拡大をさらに促進できるようにしました。

(中略)

相互協力を通じて、覚書はMTCの次の成長と革新の段階を支援する措置、

および資本市場への認知度とアクセスを高める共同プログラムとイニシアチブに焦点を当てます。

これには以下が含まれます。

  • 資本市場への対応を強化するため、60~100のMTCの資金調達インキュベーションを実施

  • MTCの競争力と革新能力を高めるための専門的なMTC能力構築プログラム

  • この成長セグメントを刺激するためのMTCに重点を置いた投資の拡大

  • このMOUに基づき、KhazanahはSCなどの主要パートナーと能力構築プログラムを実施し、生産性の向上を推進し、市場ベースの資金調達ソリューションを含むビジネス、革新、資金調達の新たな機会を切り開きます。


目的は、SCの関連会社であるCapital Markets MalaysiaによるElevateプログラムを通じて、

選ばれたMTCのプールに資金調達要件に関するスキルアップをさせ、

成長革新能力を強化するなど、資本市場への対応が可能なMTCの強力なパイプラインを

構築することです。




東南アジア株式新聞 2024年7月30日

カザナ・ナショナル、VC・PEに投資するFOF設立へ


マレーシアの政府系ファンド(SWF)カザナ・ナショナル(Khazanah Nasional Berhad)は、政府系ベンチャーキャピタル(VC)2 社――マレーシア・ベンチャーキャピタル・マネジメント(MAVCAP)とペンジャナ・キャピタル(Penjana Kapital)――を買収した。

政府のVC・PE(プライベート・エクイティ)投資の一元化であり、政府機関の合理化の一環だ。

統合後、カザナの一部門として、VC・PEに投資するファンド・オブ・ファンズ(FOF)を運用する。



7月30日、カザナ・ナショナルのプレスリリース:

Khazanah Nasional completes acquisitions of MAVCAP and Penjana Kapital, a step forward in advancing Malaysia’s venture capital ecosystem(カザナ・ナショナルがMAVCAPとペンジャナ・カピタルの買収を完了、マレーシアのベンチャーキャピタルエコシステムの発展に向け一歩前進)


カザナ・ナショナル(カザナ)は本日、マレーシア・ベンチャーキャピタル・マネジメント(MAVCAP)とペンジャナ・カピタル(PK)の買収が無事完了したことを発表しました。


これらの戦略的買収は、マレーシアのベンチャーキャピタル(VC)エコシステムの強化と公的機関の改善という、マレーシアMADANI予算2024の主要目標に沿ったものです。買収が完了すると、政府リソースの調整と集中化が強化され、マレーシアのスタートアップエコシステムの発展に向けた取り組みが促進され、地域の競争力が強化されると期待されています。


買収後、MAVCAPとPKはカザナの完全子会社となりました。カザナはその後、VCおよびPEファンドを通じて革新的で急成長中のスタートアップに投資するために、初期割り当て10億リンギットのナショナル・ファンド・オブ・ファンズ(NFOF)の設立を開始します。



マレーシア政府は、カザナに政府系VC 2 社に統合することによって、政府系ファンドの運用効率化と競争力の強化を図る。

  • マレーシア・ベンチャーキャピタル・マネジメント(MAVCAP)は、スタートアップ企業へ投資し、マレーシアの経済成長に貢献する目的で、政府が設立したベンチャーキャピタル運用会社。

  • ペンジャナ・カピタル(PK)は、政府がCOVID-19パンデミックからの経済回復を目的として設立したVC運用会社。

カザナは、PE投資もしている。

現在進行中の例として、マレーシア・エアポート・ホールディングス(MAHB)の非上場化プロジェクトがある。


上記リリースに記載されたカザナのマネージングディレクター、ダト・アミールル・ファイサル・ワン・ザヒル氏のコメント:

「MAVCAPとPKの統合は、これらの組織を強固な基盤の上に築き、マレーシアのVCエコシステムをさらに強化することを目的とした新しい取り組みを実施する機会となります。複数の投資機関にわたる投資プラットフォームを統合することで、マレーシアは資金調達の持続可能性を高め、民間資本を巻き込み、地域のVC企業を国内に誘致し、戦略的に重要なセクターを活性化する上で有利な立場に立つことになります」

「さらに、国家ファンド・オブ・ファンズの設立は、国内外のパートナーとの連携を通じて起業家、新興企業、VC、企業ベンチャープログラムからなる地元の新興企業エコシステムを支援することを目指すカザナのFuture Malaysiaプログラムと一致しています」




カザナ・ナショナルの2023年業績

プレスリリース(3月11日):

Khazanah records RM5.9 billion profit for 2023, solidifies growth strategy amidst volatile market conditions(カザナは2023年に59億リンギットの利益を記録、不安定な市場環境の中で成長戦略を固める)


(前略)

カザナのマネージングディレクターであるダト・アミールル・ファイサル・ワン・ザヒルは次のように述べています。

「2023年は、2022年度と比較して利益が3倍以上となり、より好調な業績を達成しました。当社は、引き続き価値創造の取り組みとポートフォリオ再調整アプローチを活用し、バランスシートを強化し、強靭な財務体質を構築していくというコミットメントを維持します。2024年は政治的不確実性が高まり、世界的に厳しい年になると予想されますが、「マレーシアの発展」は引き続き当社の包括的テーマであり、国家の発展を実現し、マレーシアの持続可能な未来を確保することに向けた戦略と行動を方向付けていきます」


財務およびポートフォリオの実績

カザナは、投資先企業からの配当金および分配金の増加、公正価値の上昇、資本保全により、59億リンギットの営業利益を記録しました。

負債は前年の491億リンギットからわずかに増加して502億リンギットになりました。

実現可能資産価値(RAV)対負債比率は2.7倍と健全な状態を維持しました。


純資産価額(NAV)は2004年の330億リンギットから2023年には850億リンギットに増加し、年平均成長率は5.1%となり、国に持続可能な利益をもたらし、マレーシアの長期的な富を増やすというカザナの使命を果たしました。

投資ポートフォリオは、この期間中の厳しい市場環境の中で、5年間のローリングNAV TWRR(時間加重平均リターン率)が2.9%、1年間のNAV TWRRが5.7%を達成しました。

2023年の収益は、先進国市場のポートフォリオとマレーシアの上場投資先企業の部分的な回復により改善しました。

2023年、カザナは新規投資に73億リンギットを投入し、資産の収益化により72億リンギットを回収しました。

(中略)

カザナは2023年の配当金として10億リンギットをマレーシア政府に支払い、2004年以来の累計配当金は181億リンギットとなった。





関連記事:企業研究|マレーシア・エアポート・ホールディングス(MAHB)



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