インドネシア株が急落、「新興国株」脱落の可能性を受け【更新】

 

インドネシア株が急落、「新興国株」脱落の可能性を受け

東南アジア株式新聞 2026年1月29日


指数会社MSCIの発表がインドネシア株の新興国株からの格下げになる可能性を示唆したのを受け、

1月28日、インドネシア証券取引所(IDX)の株価が急落した。


金融当局が29日に対策を打ち出し、ひとまず大幅下落の継続は免れた。


だが、中央銀行副総裁に大統領甥を配置したことで通貨ルピアが下落方向にある。

インドネシア金融市場への外資からの信頼を取り戻すのは困難が予想される。


IDX総合指数の1ヶ月(2026年2月6日、IDX公式サイトより)
IDX総合指数の1ヶ月(IDX公式サイトより)
         


東南アジア株式新聞 2026年2月6日

米ムーディーズがインドネシアを格付け見通しを引き下げ

ムーディーズは2月5日、信用格付見通しを「ステーブル」から「ネガティブ」へ引き下げた。

ネガティブは、インドネシアの格付けを現在の「Baa2」から「Baa3」へ下げる前段階である

という意志表示だ。



2月6日(金)のジャカルタ/シンガポール発ロイター電:

Indonesian markets slide again, after Moody's cuts outlook | Reuters

ムーディーズがインドネシアの信用格付け見通しを引き下げたことを受け、インドネシアの株価と通貨は

金曜日に急落した。

東南アジア最大の経済大国インドネシアにとって、これは新たな衝撃であり、

年初来の不安定な動きの中で、株式市場は約1200億ドルの損失を被った。


インドネシアでは、金融サービス庁が資本市場の健全性改革タスクフォースを近日立ち上げる。

指数会社や格付会社に対し説得力のある改革ができるかが注目される。

インドネシア政府は資本市場改革へタスクフォース設置へ


アンタラ通信の2月6日の記事:

Indonesia's OJK to set up task force to reform capital market - ANTARA News

インドネシアの金融規制当局は、改革を加速させ、資本市場への投資家の信頼を回復するため、

資本市場の健全性改革タスクフォースを近日中に設置すると当局者が発表した。

金融サービス庁(OJK)のフリデリカ・ウィディヤサリ・デウィ暫定議長は、

タスクフォースは関係機関と協力し、既に発表済みの8つの改革措置の迅速な実施を確保すると述べた。


  • タスクフォースには、インドネシア金融サービス庁(OJK)、インドネシア証券取引所(IDX)、

KSEI(インドネシア証券取引所)、KPEI(インドネシア証券取引所)などが参加する。

  • 改革案の候補は以下。

    • 浮動株の最低要件を7.5%から15%に引き上げる

    • 最終的な実質的所有者の開示を強化する

    • 投資家および株式保有に関する開示を現在の5%の基準から1%超に拡大する

    • 証券取引所の相互会社化

    • コーポレートガバナンスの改善





1月28日に、IDX総合指数は7.4%下落した。

同日取引時間内には一時8.8%下落し、急落が取引所規則のラインを超えたため一時中断となった。


29日も大幅下落傾向は続いた。

ゴールドマン・サックスなどグローバル投資銀行がインドネシア株の評価を下げたためだ。

午前中に8%下げ、一時中断となった。

午後に、金融当局が対策を発表したことで、持ち直し、

IDX総合は前日比1%低下にとどまった。



インドネシア株下落のきっかけになったのは、指数会社MSCIの発表だった。


MSCIの1月27日の発表:

インドネシア証券の浮動株評価に関する協議

(前略)

インドネシア証券取引所(IDX)の浮動株データフィードには若干の改善が見られましたが、

投資家は、株主構成の不透明性が依然として存在し、適切な価格形成を損なう可能性のある協調取引行動への

懸念から、投資可能性に関する根本的な問題が依然として残っていると指摘しました。

これらの懸念の一部に対処するには、インドネシア証券全体の浮動株と投資可能性を堅固に評価するために、

株式保有構造に関するより詳細で信頼性の高い情報(高株式保有集中のモニタリングも含む)が必要です。


MSCIが問題視しているのは、インドネシア上場の大型株の多くが一部の大口投資家に所有され、

浮動部分が少ないことだ。

つまり、市場の価格形成機能が十分に働かず、多くの外国人投資家にとって投資しにくい。


MSCIは2026年5月まで改善具合をモニターした後、再評価するとしている。

そして、再評価の結果によっては、以下の可能性があることが公表されている。

  • MSCIエマージング市場指数からインドネシア株を除外する

  • インドネシアをエマージングからフロンティアに格下げする



IDX総合指数の急落は、投資家がインドネシア株格下げの可能性に反応した結果だ。

機関投資家には、MSCIエマージング市場指数に採用されている「新興国株」という条件で、

インドネシア株に投資しているケースが多い。

近い将来、以下のことが予想されるため、先回りして、株価が高いうちに売る投資家が出ている。

  1. エマージング市場指数からはずれた時点で、インドネシア株はエマージング株のETFや

投資信託から外される。

  1. その過程で、エマージング市場指数組入銘柄は大きく売られて、値を下げる。

  2. 時価総額の大きな大型株の値下がりにより、IDX総合指数も低下する。



ちなみに、エマージング市場指数に採用されているASEANの国は、インドネシアのほか、

タイ、マレーシア、フィリピンだ。

ベトナムが、フロンティアからエマージングに格上げされる可能性が噂される段階にいる。

ホーチミン証取のVN指数は2025年、年間40%上昇した。


インドネシア株(IDX総合指数)も2025年の1年間で22%上昇して、注目された。

海外投資家からさらに投資を呼び込む好機なだけに、新興国株から外されるのはとても痛い。


MSCIへの対策提案については、政府の動きは早かった。


CNAの1月29日の記事:

インドネシア金融規制当局、浮動株要件を15%にすると発表

インドネシア金融規制当局は木曜日、今週の大規模な株式売りを引き起こしたインドネシア証券取引所の

透明性に関するMSCIの懸念への対応として、上場企業の浮動株比率要件を倍増し、15%とすると発表した。

金融サービス庁長官のマヘンドラ・シレガル氏は記者会見で、MSCIの懸念に対応するため、監督をより

迅速かつ効果的にするための措置を含む、いくつかの措置を講じると述べた。

マヘンドラ氏は、MSCIとのコミュニケーションはこれまでのところ良好であり、提案された対策に対する

回答を待っていると述べた。

これらの対策は早期に実施され、3月までに問題が解決されることを期待しているとも。



とはいえ、27日、インドネシア議会が中央銀行の副総裁にプラボウォ大統領の甥の就任を認めた。

中央銀行の独立性への疑念からルピアがかなり弱い。

大統領の積極財政政策により財政の規律の緩みも懸念点だ。

インドネシア金融市場に対する外資の不信感は高まっている。




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