企業研究|ゲンティン(Genting Bhd、Bursa:3182)[更新]

東南アジア株式新聞 2025年5月30日

企業研究|ゲンティン(Genting Bhd、Bursa:3182)

  • マレーシアを拠点とする多国籍コングロマリット

  • カジノ、ホテル、レジャー、プランテーション、不動産開発などの事業を展開

  • グループの持株会社がゲンティン(Genting Bhd、Bursa:3182)

  • カジノ・リゾート事業はゲンティン・マレーシア(Bursa:4715)が担当

  

ゲンティン株の1年間(2025年5月30日、Bursa公式サイトより)
ゲンティン株の1年間(Bursa公式サイトより)



2025年第1四半期、減収減益

ゲンティンはこのところカジノ・リゾート事業が失速しているが、

2025年第1四半期もまだ回復できていない。

明るい材料としては、ラスベガスでのカジノ免許を守ったこと、

ロンドンで買収によりカジノ市場でのシェアを拡大したこと、などがある。

本国マレーシアのゲンティン・ハイランドのカジノでも

施設拡充で巻き返しを図っている。


5月29日の発表:

GENTING BERHAD ANNOUNCES FIRST QUARTER RESULTS

FOR THE PERIOD ENDED 31 MARCH 2025 


ゲンティン・ベルハドは本日、2025年3月31日を期末とする第1四半期

(2025年第1四半期)の業績を発表しました。

2025年第1四半期のグループ売上高は65億800万リンギットで、

前年同期(以下「2024年第1四半期」)の売上高74億3,130万リンギットと比較して

12%減少しました。

売上高の減少は、主にレジャー&ホスピタリティ部門の減少によるものです。

グループの調整後EBITDA(利子・税金・減価償却前利益)は19億9,060万リンギットで、

2024年第1四半期の25億7,400万リンギットを下回りました。

リンギットがシンガポールドル、ポンド、米ドルに対して上昇したことも、

グループの売上高とEBITDAの減少に一部寄与しました。


 

31 Mar 2025

31 Mar 2024

増減

MYR'000

MYR'000

%

収益

6,508,025

7,431,337

-12

税引き前利益

626,243

1,380,447

-55

当期利益

277,632

998,612

-72

ゲンティン・マレーシア(GENM)のカジノ事業

発表分の中から、GENMのカジノ事業の同行を抜き出してみると、以下の通り。


マレーシア 

ゲンティン・マレーシア(GENM)のリゾートワールド・ゲンティン(RWG)は、

新しいエコツーリズム体験を含む、新たな施設やアトラクションの導入を進めている。

一方、GENMは、収益管理システム、業務効率、サービス提供の改善にも注力。

英国

GENMは最近、ロンドンのAspers Stratfordを買収した。

米国

GENMは、ニューヨーク州のゲンティン・エンパイア・リゾーツLLCの残りの持分を取得し、

その後、エンパイア・リゾーツ社を設立する予定。

ニューヨーク州ゲーミング施設委員会(NYGAB)の判断を待っているところ。


ネバダ州ゲーミング管理委員会(NGCB)が2025年3月にネバダ州ゲーミング委員会に対して

リゾートワールド・ラスベガス(RELV)やその関連会社を訴えていた件について、

RWLVなどは3月20日に和解合意書に署名した。

この合意書は、2025年3月27日の委員会の審問において承認された。

和解により、RWLVはVIPプレイを再開し、回復することが可能になった。


  • 訴えの内容は、RWLVが、ラスベガスで非合法とされたブックメーカーを排除しなかったこと。

  • 和解金はUS$10.5 million と報じられている。




東南アジア株式新聞 2025年3月1日

2024年度は増収減益、カジノ部門の強化が課題に

ゲンティンが2月27日の業績発表によると、2024年度は通年で増収減益になった。

レジャー&ホスピタリティ部門、つまりはカジノリゾート部門が振るわなかった。

特に第4四半期、シンガポール、マレーシア、

米国のカジノリゾートで増益を確保できなかったことと、リンギット高が響いた。

今後はカジノ部門の強化が課題になる。


2025年2月27日の発表:

ゲンティン・ベルハド、2024年12月31日まで第4四半期の業績を発表

  • 2024年度のグループ収益は277億リンギットで、2023年度より2%増加

  • 2024年度のグループEBITDAは88億リンギットで、2023年度より1%減少


https://www.genting.com/wp-content/uploads/2025/02/GENT-4th-Grp-Qtrly_Press-Release.pdf


ゲンティン・ベルハドは本日、2024年12月31日に終了しました第4四半期および通期の業績を発表した。

2024年第4四半期のグループ収益は68億8,130万リンギットで、前年同期比5%減となった。

前年同期(23年第4四半期)の収益は72億6,740万リンギットでした。

収益の減少は主にレジャー&ホスピタリティ部門によるものです。

2024年第4四半期のグループ調整後EBITDAは16億7,900万リンギットで、

前年同期の22億8,540万リンギットを下回りました。

 RM(リンギット)がGBP、USD、SGDに対して上昇したことも、

グループの売上高およびEBITDAの減少につながりました。



2025年度の展望の部分。

  • マレーシアは楽観的。RWGの収容力と効率を強化する。

  • 英国では市場の変化に対応し、効率を強化する。

  • 米国では、RWNYと別の子会社Empire Resorts, Inc.のシナジーを活用、NY免許の動向を注視。

  • シンガポールでは、観光客数の戻りがある中、AIを活用して

RWSの一層の効率化と個人体験の強化に注力する。



同時に以下の発表もあった。

2月27日の発表:

ゲンティン、最高経営責任者の交代を発表


ゲンティン・ベルハドは、ダトー・スリ・タン・コンハン氏

(ゲンティン・ベルハドの社長、最高執行責任者、エグゼクティブディレクターを18年間務める)が、

2025年3月1日付けで最高経営責任者(CEO)に就任します。

タン氏は2020年1月1日以降努めているゲンティン・ベルハドの社長兼執行役員として留任する。

(中略)

約20年間にわたり同社の経営を指揮してきたタン・スリ・リム・コックタイ氏はCEOの職を退くが、

引き続き会長職を務める。


リム・コックタイ氏は創業者の息子であり、もっと長期にCEOに留まると見られていた。



東南アジア株式新聞 2024年12月20日

株価の緩やかな下落が止まらない

ゲンティン、ゲンティン・マレーシアとも株価が緩やかに下落している。

11月に発表した第3四半期業績は必ずしも悪くはなかったが、

積極的な買い材料としては扱われなかった。


地域(シンガポール・マレーシア)のカジノ・リゾート市場が

コロナ後の国際観光の回復にうまく乗れていないのは事実だが、

ゲンティンの得意分野が回復期にあるのも確かだろう。

そろそろ割安と考える投資家が増えてきても不思議ではないのだが。


The Edge Malaysia の12月17日の記事:

ゲンティン、ゲンティンM、4年ぶり安値に下落、アナリストの「買い」推奨は無視され

Genting, GenM skid to four-year lows as investors look past analysts' 'buy' calls

ゲンティンBhd(KL:GENTING)に対するアナリストの強い「買い」の呼びかけを投資家は無視しているようだ。利益予想未達からベンチマークKLCI指数構成銘柄からの除外まで、一連の悪いニュースを受けて、

株価は4年以上ぶりの安値まで下落した。

ゲンティンの株価は執筆時点で1.11%(4セント)下落してRM3.56で取引されており、

パンデミック中の閉鎖で株価が下落した2020年後半以来の最低水準付近となっている。

株価は今年23%下落している。

ゲンティン・マレーシアBhd(KL:GENM)の株価も2セント(0.94%)下落してRM2.10で取引されており、

これも2020年11月以来の安値付近となっている。

年初来、株価は21.9%下落している。

(中略)

ゲンティンには「買い」推奨が12件、そして「ホールド」推奨が2件あり、

目標価格はRM4.10からRM6.84で、平均RM5.07となっている。

一方、ゲンティン・マレーシアには「買い」推奨が13件、そして「ホールド」推奨が3件あり、

目標価格はRM2.30からRM3.65で、平均RM2.93となっている。



マレーシア証券取引所(Bursa Malaysia)の代表指数 FBM KLCIの構成銘柄から外れることも、

ゲンティン株とゲンティン・マレーシア株を売る要因になっている。

この2銘柄が時価総額上位ではなくなっているためだ。

インデックス投資している機関投資家は自動的にこの2銘柄を外す。


NST ONline の12月5日の記事:

99スピードマート、ガムダがFBM KLCI構成銘柄に、ゲンティンとゲンティンマレーシアを除外


FTSEブルサ・マレーシア(FBM)KLCIは、ゲンティンBhdとゲンティン・マレーシアBhdに代わって、

99社のスピード・マート・リテール・ホールディングスとガムダBhdを構成銘柄に加えた。

(中略)

FTSEラッセルとマレーシア証券取引所は、すべての構成銘柄の変更は2024年12月23日に発効すると発表した。



また、以下のようなニュースもゲンティン株の人気を下げているとみられる。


NST Online の12月3日の記事:

ゲンティン・マレーシア、リゾートワールド・ゲンティンのカジノ2フロアの再開を延期


アナリストによると、ゲンティン・マレーシアBhdは、主力の統合型リゾートである

リゾート・ワールド・ゲンティン(RWG)の3つのカジノフロアのうち2つを再開する計画は当面ないという。

最近の決算説明会で、同ゲーミンググループは、

需要が正当化される場合にのみゲンティン・カジノ1(サーカス・パレス)と

ゲンティン・カジノ2(ハリウッド)の再開を検討すると述べた。

カジノは今年2月28日に閉鎖され、同社は再開の前段階として改修工事の計画を挙げたが、

具体的なスケジュールは示されなかった。

この決定は、サーカス・パレスとハリウッドのゲーミングゾーンが長年欠かせない魅力となっている

マレーシア有数の観光地の1つであるRWGにとって大きな転換点となる。





第3四半期の業績は市場で高評価を得られなかった


The Edge Malaysia の11月28日の記事:


Genting's 3Q net profit more than halves on higher write-off

カジノからプランテーションまでを扱うコングロマリットのゲンティンBhd(KL:GENTING)は、

第3四半期の純利益が57%減少したと報告した。

これは、固定資産(PPE)の減損が前期の130万リンギットから2億730万リンギットに増加したことが響いたため。


2024年9月30日までの3か月(2024会計年度第3四半期)の純利益は2億2380万リンギットで、

前年同期の5億2052万リンギットから減少した。

収益は、レジャーおよびホスピタリティ部門の貢献が減少したため、

前年同期の73億7000万リンギットから65億4000万リンギットに11.2%減少した。

最新の四半期収益は、収益が58億2000万リンギットだった2023会計年度第1四半期以来の最低となった。




2024第1四半期、シンガポールの貢献で

ゲンティンとゲンティン・マレーシアの株価も上昇

東南アジア株式新聞 2024年5月13日


5月13日(月曜)のマレーシアとシンガポールの株式市場で話題をさらったのは、

ゲンティン(Genting Bhd、Bursa:3182)、ゲンティン・マレーシア(Bursa:4715)、

ゲンティン・シンガポール(SGX:G13 )のゲンティン・グループだった。



The Star 5月13日の記事:

ゲンティン株価が上昇、シンガポール子会社の利益が10年ぶりの高水準に達したことを受け

Genting stocks rally after Singapore unit's earnings hit 10-year high | The Star

ゲンティンBhdとその子会社であるゲンティン・マレーシアBhdの株価は月曜日の取引序盤で上昇し、

ブルサ・マレーシアのKLCI指数のトップの動きとなった。

午前10時20分時点で、ゲンティンの株価は16銭上昇して1株当たりRM4.71となり、

ゲンティン・マレーシアは6銭高の1株当たりRM2.69となった。

ゲンティン・シンガポールの発表では、

2024年第1四半期(2024年第1四半期)の収益は10年ぶりの高水準を記録し、予想を上回った。


記事に書かれたのとは順序が逆で、シンガポール法人の好決算発表が発表されたことで、マレーシアのグループ本社やゲンティン・マレーシアの株価を押し上げた。





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