Sanae Takaichi 「日本初の女性首相」、東南アジアで広く報道

Sanae Takaichi 「日本初の女性首相」、東南アジアで広く報道

株高・円安を引き寄せていることも

東南アジア株式新聞 2025年10月21日

東南アジアのメディアは、高市早苗新首相の誕生を「日本初の女性首相」であることを強調して

報じている。

日本初の女性首相誕生を、マレーシアのアンワル首相は「日本の民主主義の静かな進化」と評した。


ニュースメディアでは、高市氏が「強硬な保守派」であり、中国との関係悪化が懸念されるほか、

高市氏の積極財政・金融緩和の姿勢が、

マーケットでの株高・円安を引き寄せていることもよく報じられている。




CNAの10月21日の記事(AFP通信など使用):

Sanae Takaichi wins parliamentary vote to become Japan's first female prime minister

10月21日(火)、与党自民党の高市早苗氏が衆議院の次期総裁選で勝利し、日本初の女性首相が誕生した。

5年ぶり少数与党政権を率いる首相就任となる高市氏は、来週予定されているドナルド・トランプ米大統領の訪日

をはじめ、多くの課題を抱えている。

衆議院は火曜日、マーガレット・サッチャー元首相の崇拝者である高市氏を首相に任命した。

彼女は第1回投票で予想外の僅差の多数を獲得した。


この記事は、いくつもの課題があると指摘した。

  • トランプ大統領との交渉

  • 中国との関係「北京がもたらす「安全保障上の脅威に対処しなければならない」と主張」

  • 自民党の立て直し

  • 物価上昇への対策



また、高市氏が「アベノミクス」の信奉者であることへの日本人の懸念を伝えた。

高市氏はこれまで、積極的な金融緩和と政府支出の拡大を支持しており、これは指導者である安倍晋三元首相の

主張を反映している。

自民党総裁選ではこうした「アベノミクス」の主張を撤回したにもかかわらず、

彼女の勝利は日本株を過去最高値に押し上げた。


日本の金融市場では、「高市トレード」として、円高・株高・債券安の傾向が語られている。

高市氏が首相に選出されたこの日、同傾向を手がかりにしたトレードが予想された。

結果的には、債券市場はあまり動かず、円安・株高だけが実現した。


CNAの同日の記事(東京発ロイター電がベース):

Japan's Nikkei extends record, bonds stable, on Takaichi PM election - CNA

日本の日経平均株価は火曜日、財政ハト派の高市早苗氏が国会で次期首相の選出を可決したことを受け、

記録的な上昇を続けた。

日経平均株価は終値0.3%高の49,316.06で、過去最高値で引けた。

(中略)

指標となる10年国債利回りは0.5ベーシスポイント低下し、1.66%となった。

2年国債利回りは1ベーシスポイント低下し、0.935%となった。

円は1ドル当たり0.2%下落し151.08円となった。


その他のメディアも見てみよう。


シンガポールの The Straits Times の10月21日の記事(東京のウォルター・シム記者):

Sanae Takaichi makes history as Japan’s first woman prime minister | The Straits Times

日本にとって画期的な出来事として、高市早苗氏が10月21日の国会投票で、国の最高政治職に就き、

初の女性首相となった。

衆議院では、高市氏は465票中237票の単純過半数を獲得し、残りの票は複数の党首に分配された。

野党第一党の立憲民主党の野田佳彦氏は149票で次点となった。


この記事では、閣僚の顔ぶれにも触れている。

  • 自民党の総裁臣選で次点となった政界の実力者、小泉進次郎氏(44歳)、防衛大臣。

  • 石破政権の官房長官、林芳正氏(64歳)は、総務大臣。

  • 茂木敏充氏(70歳)は、2019年から2021年まで務めた外務大臣に復帰。

  • 5人目の候補者だった小林鷹之氏(50歳)は、自民党政調会長に任命された。

  • 片山さつき氏(66歳)は、日本初の女性財務大臣。



タイの The Nation Thailand の10月21日の記事:

Sanae Takaichi becomes Japan’s first female prime minister

強硬保守派の高市早苗氏が10月21日(火)、日本初の女性首相に選出された。数週間に及ぶ激しい駆け引きの末、

日本の政治におけるガラスの天井を打ち破り、政権を急激に右傾化させた。


この記事では、国家主義的な姿勢を取り上げている。

自称愛国者で、暇な時はドラマーとしても活動する高市氏は、戦犯を含む日本の戦没者を祀る靖国神社を

定期的に参拝している。

隣国である中国と韓国からは、靖国神社は日本の戦時中の侵略の象徴とみなされている。

彼女は戦後制定された日本の平和憲法の改正を提唱し、台湾との「準安全保障同盟」の構築さえ示唆している。

これは中国政府の反発を招く可能性が高い。



マレーシア国営ベルナマ通信の10月21日の記事:

Anwar Congratulates Japan’s First Woman PM Sanae Takaichi


アンワル首相は、日本初の女性首相となった高市氏の意志力を称賛するとともに、

「日本の民主主義の静かな進化」と評価した。





10月6日に、高市・自民党総裁が誕生して以降、日本の政界は混迷した。

自公連立政権から公明党が離脱し、自民党総裁が自動的に首相にならない可能性が出た。


高市自民党は、保守派の日本維新の会と政策協定を結び、国会での首班指名選挙に協力を得た。



 高市・自民党新総裁、東南アジアでは「日本初の女性首相」が強調された

東南アジア株式新聞 2025年10月6日


土曜日に高市氏が自民党の新総裁に選出されたことを受け、

10月6日(月)の日本の金融市場は、大方の予想通り「株高、円安、金利高」となった。

総裁候補の中で最も積極財政派であり、国債を増発してでも、政府支出を大幅に増やす可能性があるためだ。


日経平均株価の終値は前週末比4.75%高の4万7,944円76銭だった。

ドル円為替は、8月1日以来約2カ月ぶりに1ドル=150円台まで下げた。

長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは一時1.67%に上昇(債券価格は下落)した。


今日1日の市場の動揺はあまり気にする必要はないが、方向性は示された。

高市氏が15日に首相に就任後に打ち出す経済政策によっては、株高・円安・金利高が一層進む。

最近の日本では「株高不況」(または「不況下の株高」)と言われ始めているが、

景気の1つの指標である株式市場は上昇トレンドを続けているのに、

円安と金利高によって普通の人の生活は苦しくなる状況が続く可能性がある。


東南アジア地域ではほとんど無名だった高市氏だが、各国のメディアが報道し、

にわかに脚光を浴びている。

「日本初の女性首相」「政治的タカ派」「経済的ハト派」のほか、若い頃ヘビメタ好きのドラマーだった

ことなどが紹介されている。




CNA の10月6日の記事(東京発ロイター電を下敷きにした記事):

高市氏の勝利で日銀利上げ観測が後退し、日本株は急騰、円は下落

月曜日、高市早苗氏が次期首相に就任することがほぼ確定したことで、

日本株は過去最高値を更新した一方、円と長期国債は下落した。

大規模財政と金融緩和政策の復活への期待が高まった。

日経平均株価は4.75%上昇し、47,944.76で取引を終えた。一時48,150.04まで上昇し、

心理的に重要な3つの1000ポイントの節目を初めて突破した。東証株価指数(TOPIX)は3.1%上昇した。

30年国債(JGB)は急落し、利回りは過去最高を記録した。

一方、2年国債の利回りは、日銀による今後の利上げ観測を反映して低下した。

円はドルに対して2%近く下落し、ユーロに対しては史上最安値で取引された。


「3つの1000ポイントの節目・・・」は、文脈から考えると、株価が急上昇する中で

46,000円、47,000円、48,000円といった大台が短時間のうちに次々と突破されたことらしい。

それほど勢いがあった。


総裁選挙中は財政・金融政策についてのコメントは抑制されていたが、

高市氏は、自民党総裁の候補者5人の中で、最も拡張的な財政・金融政策を掲げていると

見られていた。


次の焦点は、国会での首相指名選挙とそのための他党との取引だ。

財政拡張派の党と組めば、株高・円安の「高市トレード」は一層進むだろう。



政治タカ派・財政ハト派、日中関係は緊張へ?

東南アジアの各国のメディアが土日に高市氏を紹介する記事を書いていた。

「日本初の女性首相へ」というのが最も多いテーマだったが、


東南アジアでは女性の首相や大統領はめずらしくない。

ただ、先日までタイ首相だったぺートンタン・シナワット氏など、

ほとんど全員が父親や配偶者が政治的な大物だ。

それに比べると、高市氏は庶民から自力で成り上がった点がめずらしいかもしれない。


シンガポール The Straits Times の6月4日の記事:

高市早苗氏:ヘビーメタルファン、元バイカー、そして日本の次期首相 

高市早苗氏(64歳)は、英国初の女性首相であり、彼女の政治的ロールモデルである

故マーガレット・サッチャー氏の足跡を継ぎ、日本初の女性首相となる準備が整っている。

1979年から1990年まで英国を率い、2013年に87歳で亡くなった「鉄の女」サッチャー氏と同様に、

高市氏は筋金入りの保守主義者だ。


以下のようなことが紹介された。

  • 高市氏の師匠は故安倍晋三元首相で、2006年から2007年、そして2012年から2020年の

二度の首相在任期間中、彼女を党や政府の要職に任命した。

  • 10期、国会議員を務める高市氏は、工場労働者の父親と警察官の母親のもと、

奈良県の極めて保守的な家庭で育ち、自力で政治家になった人物である。

  • 第一志望だった東京の名門私立大学、慶応義塾大学と早稲田大学に合格したが、

国立の神戸大学で経営学を学び、往復6時間かけて通学した。

  • その後、将来の政治指導者を育成する松下政経塾に入学しました。

  • 政治的に豊富な経験を有し、沖縄・北方担当大臣(2006~2007年)、

総務大臣(2014~2017年、2019~2020年)、経済安全保障担当大臣(2022~2024年)などを

歴任した。自民党政調会長を3期務めた。

  • 高市氏は、物議を醸す靖国神社への定期的な参拝で知られています。

靖国神社には、数百万人の戦没者に加え、A級戦犯として有罪判決を受けた14人が祀られている。

  • 彼女は政治的にはタカ派だが、財政面ではハト派で、

税額控除や財政拡張主義を支持しており、以前は日本銀行の利上げを批判していた。

  • 高市氏は若い頃、ロックミュージシャンを志し、熱心にドラマーを務めていました。

  • バイクレースに出場するなど、バイク好きでもあった。

  • 現在もロックとヘビーメタルのファンだ。



マレーシアの新聞は別の側面を紹介した。

 The Star の10月6日の記事(中身はAFP通信):

日本初の女性首相、だが、高市氏はフェミニストではない

高市氏は、退任する石破茂首相の政権下ではわずか2人だった女性閣僚を、

「北欧並み」の女性閣僚数に増やすことを約束している。

64歳の高市氏はまた、女性の健康問題への意識を高めたいと述べ、

自身の更年期障害の経験についても率直に語っている。

こうした姿勢にもかかわらず、彼女のジェンダー政策は、既に保守的な自民党の中では右派的な位置づけにある。

彼女は、夫婦同姓を義務付ける19世紀の法律の改正に反対している。

その法律の結果、女性が夫の姓を名乗るケースが圧倒的に多い。

高市氏はまた、日本の皇室が男性のみによる皇位継承の原則を堅持することを望んでおり、

同性婚には「根本的に反対」している。


ASEAN諸国にとっては、高市氏はまだ未知の人だろうが、中国と台湾ではそうではない。

台湾の総統は最も早くお祝いを言った政治トップの1人だった。

台湾総統「熱烈にお祝い」 高市氏と4月に会談―自民総裁選:時事ドットコム


今のところ公式の批判は出していないが、中国は逆の見方をするだろう。


香港の新聞は、高市政権になれば、日中関係が緊張する可能性を指摘した。

South China Morning Post の6月4日の記事:

高市早苗氏の台頭は日中関係に何を意味するのか?


高市早苗氏が日本の次期首相に就任する見通しとなったことで、北京と東京の間の緊張がさらに高まる可能性

があると、観測者たちは警告している。

台湾問題と日本の戦時中の歴史に関する彼女の物議を醸す立場が理由だ。




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