アジア開銀(9月予想)、東南アジアの2025年成長率を4.3%に下方修正
アジア開銀(9月予想)、東南アジアの2025年成長率を4.3%に下方修正
東南アジア株式新聞 2025年10月1日
アジア開発銀行(ADB)は、東南アジア地域の2025年のGDP成長率予想を4.3%に引き下げた
(4月の予想では4.7%だった)。
2026年についても同じく4.3%(4月予想は4.7%)に下げた。
9月30日の発表:
Developing Asia and the Pacific’s Growth to Dip Amid New Global Trade Environment
アジア開発銀行(ADB)は、関税や貿易協定の見直しによって新たな世界貿易環境が生まれていることを受け、
アジア太平洋開発途上地域の今年と来年の成長見通しをそれぞれ0.1%ポイントと0.2%ポイント引き下げた。
本日発表された2025年9月版アジア経済見通し(ADO)によると、この地域の経済成長率は今年4.8%、来年4.5%と予測している。
これは、4月時点の予測値であるそれぞれ4.9%と4.7%を下回る。
米国による関税引き上げと貿易をめぐる不確実性の高まりは、この地域の成長を圧迫すると予想。
インフレ率は、食料とエネルギー価格の低下を背景に、今年は1.7%まで低下し続けるが、
来年は食料価格の正常化に伴い2.1%まで緩やかに上昇する見込みだ。
GDP成長率予想
ブルネイ・ダルサラーム:米国の関税引き上げに伴う主要貿易相手国の成長鈍化が石油、
液化天然ガス(LNG)、石油化学製品の需要に重くのしかかる。
カンボジア:タイとの国境紛争や貿易上の不確実性。
インドネシア:国内需要は引き続き堅調に推移すると予想されるものの、
世界的な需要の弱さを反映。
マレーシア:制限的な貿易政策の影響。
フィリピン:世界的な貿易不確実性が投資家心理を冷え込ませている。
しかし、低インフレと緩和的な金融政策は、短期的には内需を支えると見込まれる。
シンガポール:世界的な政策不確実性と関税引き上げの広範な影響を反映。
タイ:関税引き上げによる輸出の伸び悩みと観光客数が予想を下回ることが重し。
東ティモール:財政再建の進展を背景に2026年も減速する。
ミャンマー:3月に発生したマグニチュード7.7の地震によりマクロ経済の不安定性が
さらに深刻化した。
ベトナム:継続的な政策刺激策と、輸出の前倒しによる上半期の力強い成長が牽引する。
今回のSpecial Analysis には、東南アジアに焦点を当てた以下のリポートがあった。
特別分析・東南アジアの観光
中国から東南アジアへの旅行者の不足は続く
中国からの東南アジアへの観光客数はパンデミック以前の水準を下回っている。
タイ、カンボジア、フィリピンでは大幅な減少となっている。
(原因1)中国人観光客が国内旅行やその他の目的地をますます好むようになっている。
(原因2)安全上の懸念や厳格なビザ政策といった各国特有の障壁も反映している。
的を絞った政策措置により、これらの障壁に対処し、観光業の回復を加速させることができる。
中国人観光客が完全に回復すれば、カンボジア、タイ、フィリピンのGDPを押し上げる
可能性がある。
中国人観光客の回復を加速させるため、各国政府は、現実的な障壁に対処する政策と旅行者の認識を融合させる
政策を組み合わせるべきだ。
ビザ免除や電子ビザの選択肢を拡大することでビザ要件を緩和すれば、旅行へのアクセスが容易になり、
目に見える法執行と明確なコミュニケーションを通じて安全性を高めることで、潜在的な旅行者の安心感を高める
ことができる。
中国国内でのマーケティングキャンペーンも、認識を再構築し、各国独自の魅力を際立たせるのに役立つ。
入国障壁と旅行者の懸念の両方に対処することで、東南アジアは中国からの旅行者をより多く誘致し、
観光セクターを活性化させることができるだろう。
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