政府系ファンド|テマセク(Temasek Hodings)
1974年設立のシンガポールの政府系投資会社
シンガポール政府が唯一の株主で、シンガポール会社法に基づく商業会社。
2000年代初頭から、シンガポール国外への投資を積極的に拡大
特にアジアの新興経済圏、金融サービス、通信分野に注力
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テマセクのX投稿(7月9日) |
2025年3月末の純ポートフォリオ価値が4340億Sドルと最高を記録
東南アジア株式新聞 2025年7月9日
7月9日の発表:
テマセクは、2025年3月31日を期末とする会計年度の純ポートフォリオ価値(NPV)が4,340億Sドルとなり、
前年比450億Sドル増加したと報告しました。
この増加は主に、シンガポールに拠点を置く上場テマセク・ポートフォリオ・カンパニー(TPC)の
好調な業績と、中国、米国、インドへの直接投資によるものです。
時価評価ベースでは、2025年3月31日時点のNPVは4,690億Sドルとなりました。
これは非上場ポートフォリオから350億Sドルの価値上昇を反映しています。
各年3月末 | 2025 | 2024 | 2023 |
NPV(10億Sドル) | 434 | 389 | 382 |
テマセクの20年間および10年間の株主総利回り(TSR)は、それぞれ7%および5%。
発表文の中で分量を割いて説明しいるのは「レジリエンスの強化」だ。
レジリエンス(強靭性)の強化
私たちは、安定したキャッシュフローと収益を生み出し、貿易摩擦の影響をコントロール可能な新興企業
および既存の市場リーダー企業への投資を継続しています。
特に、大規模な国内市場へのアクセス、強靭なサプライチェーン、そして強力な価格決定力を持つ企業への
投資を重視する傾向があります。
安定した成長見通しを持ち、長期的に見てリターンの幅が狭い投資を選好します。
過去1年間に実施した投資の例としては、ハルディラム・スナックス・フード、ネオエン、
ザ・プログレッシブ・コーポレーション、ヤム・チャイナなどが挙げられます。
その他のポイント:
プライベート・クレジット、ハイブリッド・ソリューション、PEファンド、
そしてヘッジファンド、クローズド・ブロック保険、ロイヤルティを含む
流動性の高いオルタナティブ投資や無相関戦略といった主要分野への投資を拡大
SPグループといったパートナー企業からの知見を活用
そして革新的なアーリーステージの企業に投資
CNAの『Temasek Explained』シリーズ(2024年9月)が歴史から現在の課題までを説明している。
英語で聞ける人にお勧めします。
Temasek Explained: How was Temasek started? [Part 1/8]
東南アジア株式新聞 2024年7月9日
2024年3月末の純ポートフォリオ価値(NPV)は70億Sドル増
米国とインドからの投資収益が伸びる
シンガポールの政府系ファンド、テマセク・ホールディングスが7月9日、
3月末までの会計年度の純ポートフォリオ価値(NPV)が3890億Sドルとなり、
前期比70億Sドル増だったと発表した。
運用利回りがマイナスだった前期の2023年3月末から復活した。
中国での投資ロスがあったものの、米国とインドからの投資収益が伸びた。
また、非上場資産を時価評価して加えると、時価評価NPVは4,200億Sドルだったことも発表した。
これを日本円換算して言えば、テマセクは約50兆円ファンドということになる。
テマセク・ホールディングスの発表文:
Temasek Reports S$389 billion Net Portfolio Value, up S$7 billion from Last Year
テマセクは、2024年3月31日までの会計年度の純ポートフォリオ価値(NPV)が3,890億Sドルとなり、
前年比70億Sドル増となったと報告しました。
非上場ポートフォリオを時価評価すると、価値が310億Sドル上昇し、
時価評価(MTM)NPVは4,200億Sドルとなり、昨年のMTM NPVから90億Sドル増となります。
この増加は主に米国とインドからの投資収益によるもので、中国の資本市場の低迷により相殺されました。
気になるポートフォリオの中身については次のように説明している。
世界経済の不確実性の中で、当社は慎重ながらも着実な投資ペースを維持しました。
当社は、デジタル化、持続可能な生活、消費の未来、長寿という 4 つの構造的トレンドに沿って、
テクノロジー、金融サービス、持続可能性、消費者、ヘルスケアなどの分野の機会に
260 億Sドルを投資しました。
シンガポールを除くと、米国は引き続き当社の資本の最大の投資先であり、
インドとヨーロッパがそれに続きます。当社は日本でも投資活動を強化しました。
(中略)
当社の安定した長期リターンは、地域、資産クラス、注力セクターにまたがる
ポートフォリオの積極的な再編によって引き続き支えられています。
2004年にアジアに最初のオフィスを開設して以来、最初の10年間は中国へのエクスポージャーの恩恵を
受けました。
次の10年間では、ニューヨークとロンドンにオフィスを開設し、南北アメリカ、欧州・中東・アフリカ(EMEA)
へのエクスポージャーを2014年の18%から2024年には35%へと倍増させました。
この10年間のパフォーマンスは、米国とインドからのリターンの増加によって押し上げられましたが、
過去3年間の中国市場のパフォーマンスの影響によって相殺されました。
全体として、当社のポートフォリオのエクスポージャーは引き続きアジアに根ざしています。
今回、テマセクは年次報告書『Temasek Review 2024』に加え、
初のサステナビリティ(持続可能性)レポート『Sustainability Report 2024』も発表した。
『Temasek Review 2024』: www.temasekreview.com.sg
『Sustainability Report 2024』: http://www.temasek.com.sg/SR2024
ところで、発表文に「日本でも投資を強化」という一言もあった。
これについては、テマセクの子会社 Vertex Holdings の日本部門 Vertex Ventures Japan が
5月17日に発表している。
Vertex Ventures Japan Launches Inaugural JPY 10B Fund
(バーテックス・ベンチャーズ・ジャパン、100億円ファンドを始動)
Vertex Ventures Japan(以下「VVJ」)は、Vertex Holdingsが中心となって設立された100億円規模の
最初のファンド、Vertex Ventures Japan Fund I(VVJFI)の立ち上げを発表します。
VVJFIは、優れた経営陣が率いる、成長の潜在力が高く、底堅い成長の原動力を持つ日本の
大手スタートアップ企業への投資に注力し、
Vertexのグローバルなベンチャーキャピタルファンド・ネットワークを引き続き活用します。
このとき、バーテックスは、東京大学との提携も発表した。
協力して、将来性ある日本のスタートアップを探すという。
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